やあ、こんにちは。新聞活用学習・NIEのナビゲーター、ヤクだよ。きょうは、年末恒例の「あなたが選ぶ10大ニュース」の候補が載った特集紙面を使って、人の意見を意識したり、主権者教育につなげたりしている学校を訪ねたよ。
ヤクは、ユーラシア大陸の高地に生息する、ウシの仲間。NIEを通して、これからの社会を生き抜く上で"ヤク"立つ力が子どもたちにつくよう、ヤク先生が応援していきます。
最初は、新聞を読む
12月11日に訪れたのは、成田国際空港にほど近い千葉県立成田国際高校。ちょうど国際科2年生の地理の授業が始まったところだった。生徒25人を前に、石毛一郎先生が「まず、いつもどおり新聞を読んで。きょうは窓側の人に説明してもらいます」と、呼びかけていたよ。生徒たちは1人で3分ほどかけてさっと読み、選んだ記事の要旨を、1人1分で隣の生徒に説明していた。ペアでの取り組みは、慣れた様子だ。
教室の後ろに置かれた最近の新聞から1部を取り、自分の席で新聞を読み始める生徒たち |
まず「自分の10個」選ぶ
新聞で"頭の体操"をした後、本格的に授業がスタート。今年の読売新聞11月29日付紙面が、生徒一人ひとりに配られた。この紙面は、年末に決まる「10大ニュース」(同年12月21、22日付)のための候補となるニュースが載っている。この授業で使うのは、国内ニュース。今年は66件が候補になっていて、石毛先生は「隣の人と声をかけ合ってもいいから、この中から、今年の10大ニュースを5分でまず選んでください」と呼びかけた。すぐに生徒たちは「やっぱり令和でしょ」「首里城炎上だね」「京アニ事件は入る」「消費税10%」「韓国の徴用工問題は?」などと、声を上げながら、「自分の10個」を選んだ。
「2019年に起きた日本のニュース」をまとめた紙面をみて、この1年の10大ニュースは何かを考える生徒 |
選んだ10個 友達と違う
「自分の10個」を選んだ後は、隣同士ペアになって、その10個を披露し合う。「やっぱり、池袋の暴走事件だよね」「えっ、私、知らない!」。相手が選んだニュースを知らず、驚く生徒も。「ペアで『10個はこれじゃないの?』と推測してください」と石毛先生が途中で話しかける。
今年の10大ニュースは何か、すり合わせる生徒たち |
最後は班で「10個」選ぶ
最後は、4、5人の班で10個を選定。「『あおり運転』は、パワーワードじゃない?」「高齢運転の方がインパクトがある」「イチロー選手引退、ラグビー、バスケ・八村選手、陸上のサニブラウン選手、テニスの大坂なおみ選手......。全部入れたいけど、スポーツだけでこんなに入らないんじゃない?」......。どの班も議論がなかなか終わらない。
最後の1個は何か、議論に議論を重ねる生徒たち |
67番目の提案も
授業も終盤。別のクラスでは、「67番目の候補を入れたい」と提案した生徒もいたんだって。それは何かと言うと・・・・・・「嵐活動休止」。石毛先生がその話を紹介すると、多くの生徒たちが「あー!」と悲鳴のような叫び声を上げた。最後に班でまとめた10大ニュースを用紙に書き込んで、この日の授業は終了。「楽しくて勉強になる授業。また受けたい」と女生徒の1人。
班で選んだ10大ニュースを書き込む生徒 |
「海外10大」「地元10大」も活用
答え合わせは年明けの授業で。一番正解率が高かった班には、石毛先生がお菓子をプレゼントするんだって。地理の授業なので、年明けには海外10大ニュース(同年12月22日付)、千葉県10大ニュース(同年12月21日付)、地域紙による地元市町の10大ニュースも紹介して、舞台となった場所を確認。地元10大ニュースは、自分の街を知り、有権者としての自覚を促すので、こちらもおススメなんだって。
生徒たちの後ろで、校長先生も10大ニュース選びに挑戦 |
石毛一郎先生
年末が近づくと、「あなたが選ぶ10大ニュース」という特集記事を使って、地理の授業で活用します。生徒が世論に敏感になり、大盛り上がりする授業です。人の意見を聞いて検討し、話し合っていく過程は、まさにアクティブラーニングで、生徒たちの社会への関心を高めます。
「10大ニュース」、当たるようで当たらないんだよね。10大ニュース当て、小中学校でも取り組んでみたら盛り上がるよ!
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