やあ、こんにちは。新聞活用学習・NIEのナビゲーター、ヤクだよ。きょうは、NIE推進一覧表を作って、学校全体で新聞活用学習を進めている学校を訪ねたよ。
ヤクは、ユーラシア大陸の高地に生息する、ウシの仲間。NIEを通して、これからの社会を生き抜く上で"ヤク"立つ力が子どもたちにつくよう、ヤク先生が応援していきます。
先生たちが連携
今回訪れたのは、校庭にあるケヤキの大木2本が美しい東京都世田谷区の区立緑丘中(楠美利文校長)。ここは、NIEに力を入れて10年以上たつ学校。ここ数年、年度初めに「NIE推進一覧表」を作って職員室の全員に配り、先生と図書館司書がタッグを組んで新聞を子供たちの学習材として生かしているんだって。一覧表を作ったのは、同校のNIE担当・浅岡志津子先生。この学校は若手先生が多く、「具体的に実践内容を書いた一覧表があった方が取り組みやすいのでは」と思って作ったんだって。
7項目の一覧表
一覧表の項目は、「発表」「掲示」「出前授業」「道徳」「コンクール応募」「新聞作り」「NIE実践校」の7つ。このうち「発表」は、帰りの会に当番の生徒が、1週間の新聞の中から気になる記事を1つ選んで発表するのがメイン。「記事を切り抜いた後の新聞は、クラスの棚に曜日ごとに保管」「廊下にクリアポケットに入れ、曜日・クラスごとに掲示」って、一覧表には取り組むコツが細かく書かれている。作品は、学習発表会にも展示するんだって。
総合学習のための教室では、新聞が日にちごとに保管されている |
全校リレー「NIEコーナー」
「掲示」のメインは、廊下に設けられた「NIEコーナー」。教科ごとに分けられていて、3学年全クラスの各教科係が、1週間交代で取り組む。家庭科は「子ども食堂1.6倍に」っていう記事、美術は、新型iPhone(アイフォーン)の「きれいな写真が売り」なんていう記事が貼られていたよ。一覧表には「金曜までに選んだ記事を教科担当に見せて作業」「『新聞教科係』のマグネットシートが回ってくる」などと書き添えられている。
「なるほど」とつぶやきながら、生徒の選んだiPhone(アイフォーン)の記事に見入る楠美校長 |
道徳で新聞活用 保護者にも公開
「道徳」も、全校で一斉に新聞を使った授業をすることがあるんだって。年1回の「道徳授業地区公開講座」で、これは保護者も参観できるんだ。私が12月にお邪魔して見たのも、この授業。各学年で同じ記事を使って、それぞれの先生が生徒に一生懸命、授業をしていたよ。2年生で使っていたのは、16歳の昨秋、国連の気候行動サミットで演説して世界から注目された環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(17)の記事。記憶に新しい演説に、生徒たちは真剣な表情で授業に挑んでいたよ。
16歳少女の演説記事と教科書を使い道徳の授業が行われた2年生のクラス |
「職業新聞」「移動教室新聞」「修学旅行新聞」...
一覧表では、「新聞作り」も。1年は「移動教室」「職業調べ」、2年は「校外学習」「職場体験」、3年は「修学旅行」「卒業新聞」。「移動教室」と「修学旅行」の作品は、学習発表会でも展示。ほかにも、図書館司書の加藤弓子さんが、「天皇陛下 即位の礼」や「ローマ法王38年ぶり来日」など、その時々のニュースをまとめた新聞を作っていて、それが、校内のあちこちに。図書室には新聞紙面と関係した本コーナーもあって、生徒が何人も訪れていたよ。
図書室に置かれた本に連動した新聞紙面を指さす図書館司書の加藤さん |
「出前授業」や「コンクール応募」も
新聞記者を招いた「出前授業」も。1年は「新聞作り」の単元で「紙面の見方」「レイアウトについて」、2年は職場体験学習で「記者の仕事」、3年は「公民」で「政治・経済にかかわる紙面について」をテーマにした出前授業が好評なんだって。ほかにも、「コンクール応募」は、日本新聞協会の「いっしょに読もう! 新聞コンクール」へ応募する作品作りを夏休みの課題に、「NIE実践校」は、日本新聞協会から一定期間新聞を届けてもらえるから、おススメなんだって。
図書委員会の新聞係が作ったSDGs新聞も廊下に |
浅岡志津子先生
最初は「いったい、どうやったら...?」って戸惑っていた若手先生たちも、やっていくうちに「コツが分かってきた」「難しくないことが分かった」などと理解してくださいます。共通理解を年度初めにはかると、いろいろなことが効率よく進みます。
取り組む内容が具体的になっていると、迷いが少なくて済むね。一覧表を参考にしながら、楽しく進められたら最高だね!
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