こんにちは。新聞活用学習・NIEのナビゲーター、ヤクだよ。きょうは、気になる記事を紹介し合う大学生の授業をのぞいてきたよ。学生さんたちは、みんな教員の卵。まるで目の前に子供たちがいるように記事の感想を語りながら、とっても一生懸命、ニュースに向き合って学んでいたよ。
ヤクは、ユーラシア大陸の高地に生息する、ウシの仲間。NIEを通して、これからの社会を生き抜く上で"ヤク"立つ力が子どもたちにつくよう、ヤク先生が応援していきます。
オンラインでも新聞活用
8月7日にお邪魔したのは、奈良県内にある帝塚山大。といっても、新型コロナウイルスの感染拡大で、授業はオンライン。同大学のe-ラーニングシステム「TALES(Tezukayama Active Learning Education Square/テイルズ)」を使って、現代生活学部こども学科3、4年の学生さん48人が「教育実習事前事後指導(小学校)」が行われるオンライン会議室に集まり、小学校国語科の教材研究と学習指導を学んでいるところだったんだ。
教育実習事前事後指導(小学校)の課題を知らせる帝塚山大のTALESページ |
教育実習かのようにアドバイス
この日の授業前に出されていた課題は、「座右の銘」を考えると、気になる新聞記事を選んで要約・感想をまとめてくることなど。授業はまず、「座右の銘」を紹介する「言葉のプレゼント」から始まった。教育実習に行って小学4年生に最後に挨拶をするという設定で、授業担当の徳永加代先生が、「お別れの挨拶は、子供たちの心に大きく響く。心を込めて挨拶しましょう」と促し、発表がスタート。「一期一会」「思い立ったが吉日」...。学生さんたちが思い思いの「座右の銘」を子どもたちに語りかけるように紹介し、徳永先生が「お世話になった子供たちだと思って」「子供が座右の銘を書き写せるように、ゆっくりと文字が書かれた紙を見せてあげて」などと、時々アドバイスをはさむ。
グループに分かれ、座右の銘を紹介する学生 |
記事紹介し意見交換も
後半が、教育についての気になる記事紹介だ。学生さんたちの多くは、2年の時から週1回のペースで新聞スクラップを続けているから、みんな慣れた様子で自分のスクラップ帳から記事を選び、オンライン上で参加者に紹介していく。最初に記事を紹介した女子学生さんが選んだのは、先月の九州豪雨の時、学校で一夜を過ごした小学校の教職員や子供たちの様子を伝える記事。「先生は勉強を教えるだけじゃなく、みんなの命も預かっている、気を引き締めないといけないと思った」と子供たちに語るように伝えると、他の学生さんが「小学校の教職員が冠水した町で救助に関わっていることは知らなかった」などと反応する。すると、徳永先生が「同じような感想を持つ子供もきっといるよね」と相槌を打った。みんなすごく真剣な表情だったよ。
最近の気になった記事として、九州豪雨の記事を紹介する学生 |
写真に注目を、とアドバイスも
徳永先生は「子どもが写真に着目したら、『ちゃんと写真も見てたね、いいことに気づいたね』とか、『やっぱり写真も人を助けてる様子が写ってるね』とか、ほめてあげるといいね」とアドバイス。グループに分かれての記事紹介では、世の中の役に立とうと、コロナ禍で不足したマスク作りに取り組む伝統産業の人たちの記事、プラスチックごみ一括回収などプラごみ削減への動きを伝える記事、動画共有アプリ「tiktok(ティックトック)」をめぐる米中対立の記事...。さらに学生さんたちが「自分事」として感じた記事が続々と紹介されたよ。
授業に参加した学生たちが選んだそれぞれの気になる記事 |
新聞で考えに広がり
授業を終えて、参加した学生さんたちは「自分の考えに広がりが出てきた」「文章力がついてきた」などと、とてもやりがいを感じていたようだったよ。徳永先生は「『継続は力なり』で、学生たちはまじめにコツコツ取り組み、文章をまとめる力や書く力などをあげてきている。新聞はタイムリーなニュースを扱っている。子どもたちが社会に目を向けていくために、先生が新聞を通して社会で起きていることを、子供たちに伝える機会が必要。先生がそうした呼び水にならないと」と、最後まで熱く語っていたよ。
選んだ記事の要約や感想が書かれたワークシートを手にする学生たち |
徳永加代先生
気になる新聞記事を選んで紹介し合う実践を、教職課程で学ぶ学生に行っています。先生になるためには世の中のことを知る必要があり、教員の卵である学生時代から、新聞に親しむことはとても大切です。新聞活用を取り入れながら、子供たちのいいところを見つけてほめてあげられる先生になってくれたらと願っています。
オンライン授業でNIE、っていうのも十分楽しいね。学生さんたちが選んだ記事で、ヤク先生もいろいろ真剣に考えさせられたよ。
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