楽しくNIE[30]情報量 新聞とネットで比較 県立高浜高(神奈川県)

新聞を開いて気になる記事を探す生徒たち(高浜高校で・写真はすべて木南先生提供)

こんにちは。新聞活用学習・NIEのナビゲーター、ヤクだよ。きょうは最新のニュースを新聞とインターネットで読み比べ、意見や感想をまとめる国語の授業の様子を紹介するね。


ヤクは、ユーラシア大陸の高地に生息する、ウシの仲間。NIEを通して、これからの社会を生き抜く上で"ヤク"立つ力が生徒たちにつくよう、ヤク先生が応援していきます。

 


 

 安倍首相辞任表明の日 授業で話題に 

 今回、紹介するのは、神奈川県平塚市にある県立高浜高校。10代から50代の定時制1年生約10人が学ぶ今夏最後の国語授業は、8月28日の夕方行われた。安倍前首相が辞任を表明という大ニュースが世の中を駆け巡った日だ。授業の冒頭、木南景子先生が「今日はどんなニュースかあった?」と問いかけると、男子生徒の一人が「安倍首相が辞めることになりました」と返したよ。

新聞置き場が常設された学校図書室

 

 ネットでまずニュースを探す 

 木南先生は授業の中で、直近のニュースをひとつ取りあげるようにしており、その取り組みを「ワード ストック フロム ニュース」と呼んでいる。「安倍首相はどんなことを言っていた?」。木南先生がさらに尋ねると、「体調が悪いんだって」「病気で辞めるって言ってたね」と、生徒たちが次々と答える。木南先生は首相辞任を伝える短いインターネットの記事を印刷して生徒たちに配り、その記事を読んだ後、「今、ちょうど安倍首相が記者会見しているところだから、本当に辞めるのかどうかを確認するため、ネットを検索して会見を中継しているところを探してみよう」と呼びかけたよ。

首相辞任表明のニュースをスマホで検索する生徒たち

 

 「明日の朝刊を見て」最後に呼びかけ 

 教室中でネットを検索し始め、文字のニュースを見つけた生徒もいれば、会見の中継動画を探し当てた生徒も。生徒たちはグループに分かれ、スマートフォンやタブレット端末で会見をじっと視聴し、配られた紙に感想などを書き込んでいった。木南先生は「このニュースは日本にとって大事なニュース。早く知らせたいから、きっと号外も出ると思うよ」と、将棋の藤井聡太二冠が棋聖のタイトルを獲得したことを速報する号外を手にしながら、予測した。「明日の新聞朝刊には、首相辞任表明の記事が絶対に出ているから見てごらん」と促した。

藤井聡太棋聖誕生を知らせる号外を広げて見せる木南先生

 

 先生自ら気になる記事紹介も 

 授業の後半は、最近の新聞を広げながら、気になる記事を探して感想や意見をまとめる取り組みを15分間行った。最後の5分間は、木南先生自身が気になった記事として、テニスの大坂なおみ選手がウエスタン・アンド・サザン・オープン準決勝を棄権すると表明したニュースを紹介。「でも、主催者が大会中断を決めたから、大坂さんも棄権せずに参加する方向で動いているね」と解説すると、生徒たちは真剣な表情でうなずいていたんだって。

ニュースをを探す生徒たち

 

 文章を読む力つく 

 「フロム ニュース9」は週に1、2回行われる。これまでに緊急事態宣言や保健所職員の激務など新型コロナウイルスのニュースを中心に、休校中も課題として取り上げ続けてきたんだって。木南先生は「ニュースに触れ続けてきたので、生徒たちの文章を読む力が上がってきました。生徒の方から『先生、こんなニュースがあったよ』と話しかけてきてくれるようにもなりました。『ネットだと10行くらいの短文のニュースでも、新聞だとしっかり掘り下げて説明していますね』と話すと、大きくうなずいて改めて新聞を読み返す生徒もいます。これからも地道に取り組み、生徒たちがニュースへの関心を高めてくれたらうれしいです」と話していたよ。

自身の気になるニュースなどについて生徒たちに話す木南先生

 

木南景子先生

 新聞とインターネットのニュースを読み比べ、意見や感想をまとめる取り組みを国語で行っています。ニュースの内容を深く理解するには、ネットの短文の速報では情報量が足りません。長文でニュースを掘り下げる新聞を読むことで理解が深まることを、生徒たちに実感してもらっています。気になる新聞記事を見つけて紹介する取り組みと合わせ、文章を読む力の向上、メディアの特性を理解することにつながっています。

ネットのニュースを入り口として新聞に触れる取り組みは、生徒たちが社会問題をより身近に感じるやり方なんだろうね。世の中の出来事への関心を深めて、どんどん自分で答えを見つけていける、いい大人になってほしいね。


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(2020年9月24日 16:10)
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