こんにちは。新聞活用学習・NIEのナビゲーター、ヤクだよ。きょうは、新聞からアルファベットを探して英語に親しむ小学3年生の授業を見学してきたよ。ニュースに触れながら英語が学べる楽しい取り組みだね。
ヤクは、ユーラシア大陸の高地に生息する、ウシの仲間。NIEを通して、これからの社会を生き抜く上で"ヤク"立つ力が子どもたちにつくよう、ヤク先生が応援していきます。
新聞1部を手に授業
今回訪れたのは、近くに隅田川が流れる東京・荒川区立汐入小学校(川上晋校長)。休み時間になると、川上校長が弾くギターを楽しみに大勢の子が校長室へ集まってくる楽しそうな学校だよ。3年1組の教室へ行くと、子どもたちが、廊下の新聞コーナーから新聞1部をとって、自分の席に戻るところだった。「今から3分間で、新聞からアルファベット探しをしてもらいます」と担任の山岸幸枝先生が呼びかけ、総合学習「さがそう しらべよう」の授業がスタート。児童たちは一斉に新聞をめくり、アルファベットを探し始めた。
アルファベット探しのために新聞を選ぶ児童。新聞紙集めには家族も協力 |
ニュースや卵の大きさから
新型コロナウイルスの影響で1学期はできなかったけど、2学期に入って「アルファベット探し」に挑戦できるようになった子どもたち。「ア、あった!」。「GO TO」と書かれた1面の記事から、アルファベットに赤丸を付けてワークシートに書き込み始めたのは窓際の男の子。近くの席では、野菜や卵の値段が載るページから、卵の大きさを伝える「L」のアルファベットに女の子が線を引いていた。たくさん書いている子は、「Hello」などの英単語を見つけて書き出していたよ。
自分で選んだ新聞を開き、アルファベットを探してシートに書き込む児童 |
3分間で200字近く書き込めた子も
他にも、記事についていたwebサイトのアドレス、本の広告、題字...。けっこう新聞のいろんなところにアルファベットが載っているんだね。シートに書き込む子どもたちの表情は、どの子も真剣そのもの、「全集中」で取り組んでいる。あっという間に3分が終了し、山岸先生が「10字集められた人?」「10字より上の人は?」と、書き込んだ数を確認し始めると、ほとんどの子が何十字も書けている。一番多くアルファベットを書いた子はなんと198字! クラス内で思わす驚きの声が上がったよ。
シートに書いたアルファベットの数について手を上げる児童 |
英語への抵抗少なくなる
アルファベット探しに取り組んだのは、授業の冒頭わずか5分ほど。メーンは、気になる記事を切り抜いて感想を書いたクラス全員分の新聞切り抜き作品から、一番気になったものを選ぶ「MVP決定戦」だった。アルファベット探しは、あくまでも、3年生が学ぶ外国語活動にもつながる総合学習の一環として行われていた。「短い時間ですが、新聞に書かれた世の中のニュースにも触れながら、アルファベットに興味を持ち、英語への抵抗も少なくなっていると感じています。これからも取り入れていきたい」と山岸先生。
感想も読みながら、気になる記事を探す児童 |
ゲームみたいで楽しい
ちなみに「MVP決定戦」では、共有スペースに置かれたボード5台に貼られたクラス全員分の切り抜き作品を子どもたちが20分かけて読み比べる。最終的にMVPには、NHKの人気キャラクター・チコちゃんが語る海洋プラスチックごみについて書かれた広告が選ばれた。このほかにも、新型コロナウイルス関連の記事や、アメリカ大統領選の記事、大人気漫画「鬼滅の刃」について分析した記事、年末のおせち料理の広告...みんないろいろなことに興味があるんだね。「新聞の授業は、いろいろニュースのことが分かって面白い。アルファベット探しも、MVP選びも、どっちもゲームみたいで楽しいし」って、ある男の子は話していたよ。
廊下に貼られた気になる紙面をじっと読み込む児童 |
山岸幸枝先生
新聞からアルファベットを探す実践を3年生の授業で行っています。11月末の授業では、新聞を使った総合学習「さがそう しらべよう」のウォーミングアップとして、この実践を冒頭で取り入れ、まず3分間で新聞からいくつのアルファベットを見つけられるかをクラス内で競いました。新聞を使って学習すればするほど、記事の内容を予測しながら読み、自分の思いを元に記事を選べるようにもなるので、子どもたちのレベルに合わせながら、楽しく続けたいと思っています。
5分間で楽しみながらアルファベットが覚えられる3年生の総合学習の取り組み。ゲーム性も高くて遊びの要素もあるから、家庭でも取り組めそうだね。
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