読売新聞が記事を基に作成した教材「よむYOMUワークシート」を全公立小中学校47校で活用する三重県松阪市で10月31日、教材の活用方法などを考える研修会が開かれた。より良い指導法を学ぼうと、市内外の教育委員会・学校関係者約120人が参加した。
文部科学省の学力に関する委員を務め、盛岡市立中校長時代に教材を利用した藤岡宏章氏(現・岩手県立図書館長)が講演を行い、「読解力向上に大切なのは考えること」と述べた。教師は子供たちに教え過ぎず、考えるように導くのが重要で、新聞を使ったシートは教師の工夫で問いを加えたり、社会など他教科と関連付けたりして活用できる有効な教材と話した。
実践報告では、シートが朝の学習の時間などで使われ、文章を読む抵抗感が徐々になくなったり、シートの記事を家族や友人と話題にしたりと、子供たちに変化が出ていることが報告された。
市立徳和小は、設問を解くだけでなく、記事を読んだ感想を書く欄を設けることで、子供たちが意見を持ち、表現できるようになってきていることを紹介。
市立松江小では、児童の読む力と書く力に課題があると教師全員で確認しており、課題を明確にしてシートに取り組んでいるという。
また、市立飯南中は教材に全校で取り組み、新聞に対する興味が高まったと話す生徒が増えたことなどから、廊下に新聞を置いて閲覧できるようにしたと報告した。
市立三雲中は、生徒が教材を使って「内容を分かりやすく伝えるために、記事はどのような工夫をしているか」を分析する授業を行ったと発表。設問を解くだけにとどまらず、文章の書き方や図表の使い方を考えさせる内容に発展させた例を伝えた。