明治学院大で初の柳井正財団寄付講座始まる

田中講師の話を聴く履修学生ら

 明治学院大学は、一般財団法人柳井正財団寄付講座として社会学部で「内なる国際化論」(春学期2科目、秋学期2科目)「ボランティア実践指導」(通年1科目/2クラス)を開講した。同財団による大学への寄付講座提供は初めて。これまで同大学は、社会福祉法人「さぽうと21」が主催する、難民など外国にルーツをもつ小・中学生の日本語力・学力を向上させる集中学習支援教室を学内で開いてきた。春休みや夏休みに開かれている同教室についても、一般財団法人柳井正財団が助成している。


 同大では、外国にルーツを持つ人が国内に増加する中、文化 、宗教、民族といった従来の枠組みを超え多様な価値観を共有できる学生の育成を目指し、2015年度からこうした活動を「内なる国際化」プロジェクトとして取り組んできた。寄付講座の提供に先立ち、2018年3月28日、株式会社ファーストリテイリング六本木オフィス(東京都港区)で柳井正財団の柳井正理事長と同大の松原康雄学長との間で協定締結を行った。


 寄付講座 「内なる国際化論」は、多民族・多文化化する日本社会 、グローバリゼーションと人の移動がもたらす社会現象 、難民とグローバル社会、人間の行動から学ぶ平和等がテーマ。集中学習支援教室で 5日間の実習を行う「ボランティア実践指導」では、実習に必要な知識や姿勢を身につける。


 「ボランティア実践指導」の授業は「さぽうと21」学習支援室の田中美穂子アシスタントコーディネーターが講師として行っている。履修している学生たちは、7月末から8月に同大で開く集中学習支援教室にボランティアとして参加する。それまでに日本にいる外国人についての基礎知識を学んだり、ボランティア後にはその活動を振り返ったりする。


 4月18日の3時限目の授業では、田中講師が日本にいる在留外国人の数や出身国のランキングなどについてクイズを交えて講義。2008年のリーマンショック以降、ブラジル人が減ってきており、最近は技能実習資格で来日するベトナム人や留学で訪れるネパール人が増えていることなどを説明した。履修者の一人、社会福祉学科3年の豊島奈々さん(20)は「将来、スクールソーシャルワーカーとして働きたいのでこの授業を履修した。実際の現場でどう支援していけば良いのか学びたい」と意欲を語った。


 これら寄付講座科目を含む指定科目群から一定の単位を修得した学生には、「多文化共生ファシリテーター」などの認証を行い、今春、初の認定証を5人の学生が手にした。


 同大学では今春から、UNHCR難民高等教育プログラムによる入学者受け入れも始まった。野沢慎司副学長は「ボランティアや内なる国際化について関心を持つ学生たちに向けて、この講座や認証制度をさらに広めていきたい」と話している。

(2018年4月26日 14:40)
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