[83]学校給食で考える
福岡市の小学校で出される給食のメニューが、見直されることになった、という記事(6月19日付読売KODOMO新聞「給食のおかず お皿にポツン」)を読んだ。おかずがから揚げ1個の写真がSNSで広まって、「見た目がさみしい」「量が少ないんじゃないか」といった批判が相次いだからだ。この日のメニューも、から揚げのサイズを大きくしていて、栄養上は問題なかった、という。
学校給食では、いろいろ考えさせられた。ゆっくり食べている児童を、掃除している教室に残して食べ続けさせている場面。「残飯0」を目標に各クラスが競い合い、それを達成したクラスを表彰する学校。
食べることは、個人の自由ではないかと思っていた自分にとっては、腑に落ちないことばかりだった。給食指導は教育の一環であるとすると、私は教師失格だったのかもしれない。カフェテリア方式で、子供たちが自分自身で考えて、その日食べる物と量を決めている外国でのランチの例を知ったとき、愕然としたことを覚えている。
食べることは生きることの基本である。そこから学ぶことは大きいと思う。態度やマナーから栄養のとり方、そして何よりその給食を作ってくださる方々への感謝の気持ち。
給食は教育現場において大事な「コンテンツ」の一つだ。何より子供たちの興味や関心が高く教育効果も大きいのだから。
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田中孝宏 読売新聞教育ネットワーク・アドバイザー
1960年千葉県船橋市生まれ。元小学校長。「ブラタモリ」にならって「ぶらタナカ」を続けている。職場の仲間や友人を誘って東京近郊の歴史ある地域を歩く。「人々はなぜ、この場所に住むようになったのだろう」と考えると、興味は尽きない。