やあ、こんにちは。新聞活用学習・NIEのナビゲーター、ヤク先生だよ。きょうは本と新聞記事のコラボに取り組む学校を紹介するね。最新記事を通して、社会につながる本の魅力を知るのは、格別なんだって。
ヤクは、ユーラシア大陸の高地に生息する、ウシの仲間。NIEを通して、これからの社会を生き抜く上で"ヤク"立つ力が子どもたちにつくよう、ヤク先生が応援していきます。
図書館前に作られた最新記事と関連本を展示する特集コーナー |
●神奈川県立二宮高校(神奈川県二宮町)
今回、お邪魔したのは神奈川・二宮町の県立二宮高校。ちょうど梅雨入りしたばかりで、図書館前の特集コーナーには、「雨」をテーマに、あじさいが美しい新聞写真の数々と本が並べられていたよ。このコーナーでは、1つのタイムリーなテーマに合わせて複数の記事と本を集めていて、本は図書委員42人が選定。記事は司書の今井紀子さん(44)が選んだものだ。
最新記事と本の特集コーナー
並んでいた本は、気象予報士・渡辺博栄さんの「天気予報が楽しみになる本」など約20冊。作家・宮部みゆきさんの「地下街の雨」には「雨が降っているとき、傘を差し向けてくれる人があなたの周りにはいますか?」って書かれた生徒の手による説明書きが貼られるなど、どの本にも推薦した図書委員の一言が添えられていたよ。「生徒が勧める本は、一番読まれる」と今井さん。5月初旬には憲法、5月下旬の体育祭の時期には、体育祭に役立つダンス、イラストの本などが並べられていた。だいたい前の月に今井さんが「来月のテーマは○○」って図書委員に伝えておいて、1、2週間ごとに展示を替えるそうだよ。
特集コーナーの展示本に添えられた生徒による説明書 |
廊下各所にも新聞記事と本
他にも廊下のあちらこちらに、最新の新聞記事と関連本が並ぶコーナーが。1年生向けのコーナーでは、バッタ博士・前野ウルド浩太郎さんを取り上げた記事(読売新聞6月5日付「就活ON」)が、新書大賞2018に輝いた著書「バッタを倒しにアフリカへ」(光文社新書)とともに展示されていたよ。このコーナーでは今井さんが選んだ記事と関連本が飾られていて、他にも2019年のラグビーワールドカップを伝える記事や、小惑星リュウグウを目指す探査機「はやぶさ2」の記事などが貼られ、関連する本が添えられていた。
新聞記事と関連本を紹介するコーナーは、図書館から離れた廊下にも設けられている |
記事を入れる袋は現在30袋
今井さんは毎朝、新聞を開いて気になった記事を切り抜き、保管用の袋にためておくそうだよ。とりあえず月ごとの袋に入れて、「これは生徒に役立ちそうだな」などと思ったテーマは、専用の袋を作って保管するんだって。保管袋のタイトルは、「AI・ビックデータ」「環境」「進路」「アクティブラーニング」「フェアトレード」「ユニバーサルデザイン」・・・6年前から始めて、今は30袋にまで増えた。「そのうち図書委員にも新聞スクラップを手伝ってもらえたらうれしい」と今井さん。
切り取った新聞記事を保管しておく。テーマ別、月別に分けている |
進路情報の最前線に
図書館前と室内の2か所には、進路コーナーが設けられている。廊下の進路コーナーでは、「こんなところに最新の進路記事が載っているんだ」と食い入るように見つめていた女子生徒がいたよ。毎年8月頃になると、「新聞の社説を見せてほしい」「入試に必要な時事問題について知りたい」などと図書館に駆け込む生徒が出てくるそうで、今井さんは「今年も進路担当の先生と協力して、生徒の役に立つ情報を届けたい」と話していたよ。
図書館前にある進路・進学関連コーナーの新聞記事に見入る生徒 |
新聞と本 コラボで仲間作り
図書館にはバルコニーが付き、室内には丸いソファーが配置されるなど、居心地を良くする工夫が数々施されている。前任の司書さんの力が大きいそうだけど、「図書館は文学を読むだけの場所ではない。社会につながる情報の宝庫だっていうことを、新聞記事とのコラボで伝えて、社会に目を向ける子どもが育つお手伝いができれば」と今井さん。新聞記事を授業で活用してくれる先生たちも増やしたいそうだよ。
居心地のいい丸ソファー。図書館各所にくつろげるスペース。バルコニーも楽しめる |
今井さんが力を入れる新聞と関連本のコラボ。今後さらに、どう生徒や先生たちに広がっていくか、楽しみだね。
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