やあ、こんにちは。新聞活用学習・NIEのナビゲーター、ヤク先生だよ。今日は、気になる記事を職員室で紹介している先生の取り組みを紹介するね。この取り組みで、授業で助かっている先生も多いんだって。
ヤクは、ユーラシア大陸の高地に生息する、ウシの仲間。NIEを通して、これからの社会を生き抜く上で"ヤク"立つ力が子どもたちにつくよう、ヤク先生が応援していきます。
朝8時前、新聞をチェックする菅野校長(右)と小林先生(船橋希望中で) |
●船橋希望中(東京都世田谷区)
この取り組みを行っているのは、東京・世田谷区立船橋希望中。この学校では、菅野茂男校長(60)による「職員室NIE」シートと、音楽の小林久雄先生(63)による「新聞切り抜き」シートの2つが作られ、それぞれ先生が気になる新聞記事を先生たちに紹介していたよ。10月のある朝、船橋希望中をのぞいてみたよ。
先生向けに新聞記事を選ぶ
朝7時半ごろ、菅野校長と小林先生が相次いで出勤。小林先生は学校で気になった新聞記事を切り抜くのが日課で、いろいろな仕事の合間に新聞をめくり、気になる記事をチェック。菅野校長は出勤してすぐに、通勤電車の中で選んだ新聞記事1つを切り取り、感想を書いてA4判の「職員室NIE」シートを作り上げた。
身につまされるニュースに先生も・・・
職員会議が始まり、この日の予定をそれぞれの先生が報告し、最後に菅野校長が、今回の「職員室NIE」シートの記事について触れた。今回紹介したのは、部活動に関する先生の意識調査について伝える記事。菅野校長が「函館ではホームページに部活動の時間を公表されるとニュースで聞いたばかり。世田谷にも波及するかも」と情報を付け加えると、先生たちは神妙な面持ちで紙面を見つめた。
この日の「職員室NIE」シートに貼られた記事を紹介する菅野校長 |
新聞を開いてから10~15分でできる
職員会議が終わると、今度は小林先生が、1時間目の空き時間を使って、この日気になった記事を新聞から切り取り始めた。切り抜き歴4年目の小林先生は、「見出しだけササッと見て、10分から15分ほどあれば作れる」と語りながら、なれた手つきでA4用紙に切り抜いた新聞を貼り、さっと10分ほどでシートを作り上げた。この日、小林先生が選んだ記事は、「レジ袋有料 義務化へ」のニュースと、「学年主任 進路希望実現へ心砕く」という連載、「マナー守って楽しい社会に」という投書の3本。小林先生は「最初は活字があまり好きではなかったけれど、こんなニュースがあったんだという発見の連続で、だんだん面白くなった」と話しながら、「先生たちに役立ってもらえればうれしい」と笑顔を浮かべていたよ。
気になった記事を切り取る小林先生 |
先生たちにこの日の「新聞切り抜き」シートを紹介して回る小林先生 |
とにかくシート1枚にまとめる
職員室でそのシートを見ていた30代の先生は「なかなか新聞を読む時間がないので、こうしてピックアップして紹介してもらえると助かる」、20代の先生は「こんな記事があることに気づかなかったので勉強になる」と"縁の下の力持ち"の小林先生に感謝していたよ。社会の村松俊一先生(63)は「子供たちも読んでもらい、社会に目を向ける大人になってほしい」と、小林先生がピックアップした記事を、教室で生徒にも紹介していたよ。
社会に目を向けた子供の育成につながる
新しい学習指導要領には「新聞活用」が教科を問わず盛り込まれているけど、世田谷区ではさらに、独自教科の「日本語」で、新聞記事を使って「日本語力」を高めようとしているんだって。この学校でも、新聞から気になる記事を探して感想を書く「NIEタイム(新聞タイム)」など、生徒が新聞を通して学ぶシーンが増えているそうだけど、菅野校長は「PTAの方との会話にもつながるので、先生自身にも新聞記事を通して世の中に敏感になってもらえれば」と話していたよ。
菅野茂男校長
新聞を読むと社会に目を向け、人の気持ちが理解できるようになる。生徒にも職員にも無理せず新聞活用を続けてもらえればうれしい。
生徒が新聞を通して学ぶ傍らで、先生たちが陰ながら努力する姿が目に焼きついて、頭が下がる思いだったよ。この取り組み、少しずつでも続くといいね。
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