楽しい春休みが...【新型コロナ 学生リポート】(2)

 全世界的な新型コロナウイルスの流行は、社会・経済に大きな混乱を与えています。私たち大学生にも、サークル活動の自粛や卒業式・入学式の中止、そしてアルバイト収入の減少など、たくさんの影響がありました。キャンパススコープでは、3月上旬から、メンバーを中心に多くの大学生の声を集めました。いま、私たちの生活に何が起きているのかをリポートします。

 

フライトがキャンセル、ビザも停止

 

 「あなたのフライトはキャンセルされました」。

 

 あるメンバーは、航空会社から届いた、たった一通のメールで、楽しみにしていた韓国・ウズベキスタンへの旅行計画が中止になったことを知りました。

 

 長かった試験も終わり、アルバイトでためたお金で国内外での旅行を計画していた大学生は多かったと思います。新型コロナウイルスによる社会の混乱は、春休みの3月を直撃しました。「返金手続きをしたくても、旅行代理店とは連絡がつかない。アルバイトにも入れないし、どうすればいいのか」。このメンバーは、頭を抱える毎日です。

 

 幼馴染4人で京都旅行を予定していたメンバーも、この混乱に振り回されました。「まだ感染報告の無い東北なら」と、急きょプランを練り直し、友人とも相談しながら深夜にホテルを探すなどしたそうです。反対する家族とは、「2日間も口を聞かなかった」ほどの大げんかに。結局、友人も家族の反対で行けなくなり、旅行そのものが中止になってしまいました。「大学もバラバラで、集まれる貴重な機会だったのに。本当にコロナが憎い」と話しています。

 

 中国経済が混乱していることで、思わぬ影響もありました。PCを購入しに家電量販店に行ったメンバーは、目星をつけていた商品の納期が「4週間待ち」ということを知らされました。「中国の工場が止まり、パーツが入らないから」と説明されたそうです。ある店員の方は「これから少しずつ正常化に向かうかもしれないが、大学進学を控えた高校生が新生活に向けて多く来店するようになったら、在庫の確保や納期の遅れもいっそう深刻になるのでは」と話していたそうです。

 

 私自身も、3月9日から人生で初めてのバックパックでのインド旅行を計画していましたが、観光ビザが停止され、中止を余儀なくされました。現在、インドではそこまで感染は広がっていないそうですが、衛生状態などを考えると、水際対策をしっかりしないと取り返しのつかないことになるので、仕方ないことだと思っています。

 

 ただ、悪いことばかりではありません。慌ててインド大使館を訪れた際に、同じ境遇のいろいろな人たちと友達になれたのです。「インドに行きたい」という気持ちは一緒なのですぐ意気投合しました。「今度は、ガンジス川で会いましょう」と連絡を取り合っています。

 

 当初は、対岸の火事のように思っていたコロナウイルスは、「自分が感染するかもしれない」という恐れだけではなく、旅行やコンサート、スポーツイベントなどの日々の娯楽をも奪う存在でした。一刻も早い終息を願うとともに、大学生活への様々な影響を追い続けていきたいと思っています。

(法政大学・鈴鹿希英)


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(2020年3月17日 12:45)
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