22.「昭和歌謡」の魅力
実践女子大学2年 遠藤花連(かれん)
私が小さいころ、母は家事をしながら1970~80年代に流行したアイドルの曲をCDプレーヤーで流していた。父も私を乗せた車の中で、やはり70~80年代の演歌やフォークソングを聴くことが多かった。
私はこれらの「昭和歌謡」をくちずさんで育ち、大好きになった。だが、それが周囲にわかることを避けてきた。「昔の曲を聴いている」=「ダサい」というイメージがあったからだ。
中学生のとき、同級生らと好きなアーティストの話になると、私は当時流行している曲名を挙げてごまかしていた。高校生のとき、朝の通学路で、私の音楽プレーヤーから、狩人の「あずさ2号」が大音量で流れてしまう「事件」が起きた。恥ずかしくて全速力で走ったのを思い出す。
大学生になり、私はアカペラのサークルに入った。様々なジャンルの曲を時代に関係なく歌う活動をしており、私は昭和歌謡が好きな仲間たちに出会った。
中森明菜の「DESIRE」やサザンオールスターズの「いとしのエリー」などを秋の学園祭で披露したら、年配者が口ずさんでくれたほか、若い学生たちも楽しそうに聴いていた。
老若男女がサビに限らず歌えて、歌詞が奥深いのが昭和歌謡の魅力だと思う。今では恥ずかしいという気持ちも薄れた。
新型コロナウイルスの感染拡大で、番組の収録休止が相次ぐテレビでは、過去の歌番組のVTRをつなぎ合わせた特集が目立つ。この機会に、若い世代の人にもっと昭和歌謡を耳にしてほしいと思う。
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