8.音楽をめぐる生活改善
東洋大学1年 佐藤道隆
電車に乗るとお気に入りのイヤホンを耳に着け、大好きなジャズを、同じ曲のソロを覚えるぐらいまでひたすら聴く。それが約1時間かかる通学時のスタイルだった。
だが昨年秋以降、電車内で音楽を聴くのをやめた。「ヘッドホン難聴」という言葉を知ったからだ。
新聞記事などによると、大音響で長時間、音楽を聴くと、耳に負担がかかり、耳鳴りがしたり聞こえにくくなったりすることがある。スマホにヘッドホンやイヤホンをつないで音楽を聴くライフスタイルが、若者を中心に定着し、難聴のリスクが高まっているそうだ。
僕は音漏れするほどのボリュームで聴いてはいなかったが、かなり長い時間、イヤホンを使っており、健康的ではないと考えた。
ただ、通学電車は、音楽を聴くしかないぐらい混雑している。そこで、いつもより1時間早起きして、座れる電車に乗ることにした。
腕を伸ばして本を読めるようになり、今までと違った朝の時間の使い方ができるようになった。今日は何をしようか考えたり、電車の広告を見たりするのも、新しい発見があって楽しい。
さらに、たまにしか聴かなくなった音楽が、すごく新鮮に感じるようになった。迫力のあるドラムの音や、いきいきとしたサックスの音が、より魅力的に聴こえてくる。
音楽をめぐる生活改善法で充実した毎日を過ごしている。ただ、僕と同じことを考える人が多くなると、早朝の電車が混雑しそうで少し心配だ。
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