ロシアによるウクライナ侵略から1年が過ぎました。ウクライナから遠く離れた日本で生活する留学生たちは、どんな思いで日々学んでいるのでしょうか。大学生が中心となり、開かれた交流イベントを取材しました。
(法政大学・神田明日香、写真も)
「現状を伝えてほしい」思い受け止め
「ウクライナに今暮らしている人は、戦争を生き延びている人。これは正常な状態ではないことを知ってもらいたい」。戦禍を逃れ、私たちの大学で学ぶアナスタシアさん(文学部)の言葉が胸に刺さりました。
3月25日に行われた交流イベント「一緒に考えよう ウクライナのこと~あしたを信じて~(ウクライナから避難された方々を励ます会)」は、複雑な思いを胸に学びを続ける同世代たちの思いを直接聞ける、貴重な機会となりました。
「日本人はシャイな人が多いと思っていたが、フレンドリーな人が多い」「駅で迷っていたら、目的地まで送ってくれた」----。日本での生活について、感謝の言葉を口にする留学生たち。私たち大学生も、日常の何気ない行動を通じて、困難な状況にある同世代を励まし、勇気づけることができるのだ、ということを実感しました。
壇上には、ウクライナ人の母と日本人の父を持つ中西亜廉さんの姿もありました。今春から法政大学(国際文化学部)に入学した中西さんは、ウクライナから避難してきた親戚の生活をサポートしながら、難民支援のボランティアにも関わっています。中西さんは、「避難者の心に寄り添うことを第一に考えてほしい」と訴えていました。
イベントは、OGの歌手・奈月れいさんの呼びかけに、私も在籍する法政大学自主マスコミ講座の学生が協力して行われました。現在、大学では5人のウクライナからの留学生が学んでいます。イベントの代表を務めた吉冨太陽さん(社会学部)は、「言語の壁もあったが、日本語で"ありがとう"と伝えられ、気持ちが通じた」と、振り返ります。
奈月さんらによるミニコンサートでは、「ウクライナ第二の国歌」とも呼ばれる「赤いカリーナは草原に」がウクライナ語で披露されました。音楽を通じて一体となった参加者からは、自然と笑みがこぼれます。困難を抱えながらも前に進もうとする同世代の力になっていきたい、と強く思いました。
イベント後、参加した留学生4人と話すことができました。「もっと勉強し、日本語で授業を受けられるようになりたい。日本やウクライナの文化・伝統を伝える雑誌を作りたい」というアナスタシアさんの言葉に、メディアを志す者として、大きな刺激を受けました。