日本科学協会「もしも地球が立方体だったら」田園調布学園

 日本科学協会の出前授業「もしも地球が立方体だったら」が6月6日、田園調布学園(東京都世田谷区)の土曜プログラムの一環として行われた。立方体の惑星の環境はどうなるのか、という奇想天外なSF映像を教材に、中等部1~3年の生徒15人が科学の面白さを学んだ。

 

 「上ってどっち?」

 「なぜ、地球は丸いのだろう?」

 「なぜ、地球の気温は火星よりも高く、金星よりも低いのだろう?」

 講師役の森厚・桜美林大学教授は冒頭、3つの質問を投げかけた。

 

 「上」の定義について、生徒たちは「天井」、「空の方」、「体を基準にしたら、頭の方」などと意見を出し合った。

 「これに関連する話題が出てきます」。森教授は、CG映像「Cubic Earth―もしも地球が立方体だったら―」をスタートさせた。ストーリーは、宇宙船に乗った主人公が立方体の地球に着陸し、探索する内容。そこには、大気のある場所とない場所に別れ、温度差が激しい別世界が広がり、生存可能領域が少ない中、人類の形態や生活スタイルも想像を絶するものだった――。

 約30分の映像の合間に、森教授は、重力の向きで「上」と「下」が決まること、星の真ん中に力が向くため、球体になることなどを説明。気温は、太陽からの距離だけでなく、気圧の影響も受け、空気の量が増えると、温室効果で温度が高くなると解説した。

 森教授の話にうなずきながら、主体的に学ぶ「アクティブ・ラーニング」を取り入れている田園調布学園中等部の生徒たちは、グループで活発的な話し合いをして、積極的に発言していた。

 

 映像は、地球の形状が変わるだけで、環境が劇的に変わることを示し、現在の地球が絶妙なバランスの上に成り立っていることを浮き彫りにしている。

 「科学は生活を便利にする面もありますが、常識を解放し、考え方を自由にする役割も果たしています。立方体地球のように、極端な状況を考えることにより、固定概念にとらわれず、自由に考えてほしい」

 森教授はこう話しかけた。

 

 日本科学協会は、科学に興味を持ってもらうため、このオリジナル映像を制作した。地球流体力学が専門の森教授を含む有識者会議で議論を重ね、準備期間は5年に及んだ。

 映像は日本科学協会のHPでも公開されている。

 


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(2015年6月11日 12:55)
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