幅わずか10センチの平均台で、後方宙返りからの着地を決める選手たち。迫力あるフランス代表の演技を子どもたちは2階席から食い入るようにして眺めた。
7月17日、兵庫県神戸市内で事前合宿中のフランス体操代表チームが、グリーンアリーナ神戸で行った公開練習。見学をしたのは、地元の体操クラブの子どもら約130人だ。市内の体操クラブに通う中学3年の新治ひかるさん(15)は「あんなふうになりたい」と目を輝かせ、刺激を受けた様子だった。
練習前には市立須磨翔風(すましょうふう)高の生徒が和太鼓の力強い演奏を披露。市体操協会は代表チームと応援メッセージや選手のサインが入ったフランス国旗を交換した。子供たちは拍手でエールを送り、応援を受けたチームは女子団体総合で6位に入賞した。
神戸市は、2019年にフランスのホストタウンに登録され、今夏、体操とトランポリン競技でフランス代表の事前合宿を受け入れた。体操代表チームは7月11~20日、グリーンアリーナ神戸や同県尼崎(あまがさき)市の高校で練習を重ねた。市体操協会の高校生や大学生らも練習器具の設置などで協力した。
フランス国旗を交換するケビン・ラボ―選手団長(左)と市体操協会の川畑龍雄理事長 |
食事、買い物、楽しめた
「前と変わらないやさしさと親切に感謝している」と話すのは、19年の事前合宿にも参加したマリヌ・ボワイエ選手(21)だ。当時は練習の合間、市職員らに神戸ポートタワーや京都府の平等院鳳凰堂(びょうどういんほうおうどう)を案内してもらった。今回はコロナ禍で行動が制限されたが、宿泊施設での滞在は快適だったという。
栄養管理に厳しい選手向けにすき焼きやすしが少量ずつ盛られた食事を用意。宿泊施設の敷地内のコンビニを閉店後に貸し切りにして、選手らがお土産やお菓子などの買い物を楽しめるようにもした。メラニ・デジェズスドスサントス選手(21)は「全てがきちんと手配され、食事も量が調整しやすくおいしい。練習に集中しやすい環境です」と話した。
「また神戸に戻ってくる」と声をそろえた両選手。次は様々な日本食と観光を楽しみたいそうだ。
事前合宿中、フランス国旗柄のうちわにサインをするフランス体操代表たち。うちわは公開練習を見学した子どもたちに配られた。(神戸市提供) |
フランス発見!本場の味ここから
表面がパリッとしたフランスパンを日本で広めたのが、創業116年のベーカリー「ドンク」(本社・神戸市)だ。
1950年代にフランスパンの本格的な研究を始めた。フランス国立製粉学校教授の教えを受け、蒸気の出るフランス製の石窯を備えた専用工場を神戸市内に建てて現地の製法を再現。東京都内に進出すると、「本場の味だ」とブームを生んだ。2002年には、パリで開かれている国際大会「クープ・デュ・モンド・ド・ラ・ブーランジュリー」(通称:パンのワールドカップ)で職人が日本チームの一員として優勝するまでになった。
今も国内外約180店舗の多くでパン生地から手作りし、直伝の製法はそのままだ。「社の生まれは神戸だが、礎(いしずえ)はフランス。日常食であるフランスパンの魅力をもっと広めたい」(広報担当)と話している。
ドンクのフランスパン |
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