全国高校ビブリオバトル代表、和歌山・大阪・栃木・茨城でも決定...12月14~17日
和歌山...高校代表は大平絢子さん、チャンプ本は「絶望ノート」
高校生の部で優勝した大平さん(左)と中学生の部優勝の西さん
「中高生読書まつり・ビブリオバトル和歌山県大会」(県教委主催)が17日、和歌山県田辺市内で開かれ、参加者たちは、お気に入りの本の魅力を熱く語り合った。中学生の部では串本町立潮岬中3年西悠斗さん(14)、高校生の部では県立田辺高2年大平絢子さん(17)が優勝した。2人は県代表として今後、東京などで開かれる全国の決勝大会に出場する。(平野真由)
ビブリオバトルは各自が制限時間5分で本の内容や魅力を紹介。全ての発表終了後に聴衆が読みたくなった本に投票し、「チャンプ本」を決めるルールになっている。この日は、地域大会を勝ち上がってきた中学生と高校生の計32人が登壇した。
西さんは「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」(著者、七月隆文さん)を挙げた。男子主人公の一目ぼれで付き合い始めた彼女が、不可解なタイミングで泣き出してしまう場面がある。西さんは「その理由が分かるとどのシーンも切なすぎて、(改めて最初から)読み返す気持ちになれなかった。あなたはどう思うか、読んで確かめて」などと問いかけ、聴衆の想像力をかき立てた。
西さんは「すごく緊張した。衝撃を受けた大好きな本なので一人でも多くの人にこの本に出あってもらえるよう決勝大会でも頑張りたい」と意気込んだ。
大平さんはタイトルにひかれたという「絶望ノート」(著者、歌野晶午さん)を選んだ。学校でいじめられている主人公が書きつづる日記を中心にストーリーが展開する。「他人の秘密をのぞくドキドキ感と、予測できないラストが面白い」と流れるような口調と手ぶりで聴衆をひき込んだ。
アイコンタクトを取りながら話すことを意識したといい、「みんなに読みたいと思ってもらえたことがうれしい」と優勝を喜んだ。
今後の決勝大会に向けては、最適な言葉の使い方や分かりやすい話の構成に心を砕いて準備を進めたいという。
中学生の決勝大会(特別協力・龍谷大学)は来年3月24日に龍谷大学瀬田キャンパス(滋賀県)で、高校生の決勝大会(特別協力・東京国際大学)は来年1月28日、東京国際大学池袋キャンパス(東京都)でそれぞれ開かれる。
大阪...坂中愛子さん、チャンプ本は「葉桜の季節に君を想うということ」
優勝した坂中さん
中高生がお気に入りの本の魅力を紹介する書評合戦「第8回大阪府中高生ビブリオバトル大会」(大阪府教育委員会主催、活字文化推進会議後援)の高校生大会が17日、大阪市住之江区の府咲洲庁舎であり、浪速高1年生の坂中愛子さん(16)が優勝した。
大会は、20人の出場者が5分間でお薦め本のあらすじや筆者の説明をし、ディスカッション。その後、観覧者が最も読みたくなった本を投票した。
予選を勝ち抜いた4人による決勝では、坂中さんがミステリー小説「葉桜の季節に君を想うということ」(歌野晶午著、文芸春秋)を紹介。叙述トリックにだまされた驚きを話し、「皆さんもきっとだまされます」とアピールした。
坂中さんは来年1月28日に東京国際大池袋キャンパスで開かれる決勝大会(特別協力・東京国際大)に出場する。「とにかく落ち着いて、全力で臨みたい」と意気込みを語った。中学生の府大会は来年1月14日に行われる。
栃木...長谷川菜々美さん、チャンプ本は「六人の嘘つきな大学生」
おすすめの1冊の魅力を語る長谷川さん
高校生がお気に入りの本の魅力を紹介し、聴衆が一番読みたいと思った本に投票する「全国高校ビブリオバトル」の栃木県大会(県教育委員会主催、読売新聞社など後援)が17日、宇都宮市の県総合文化センターで開かれ、県立鹿沼高校2年の長谷川菜々美さん(17)が優勝した。長谷川さんは来年1月28日に東京国際大学池袋キャンパス(東京都豊島区)で開かれる決勝大会に出場する。
栃木県大会には13校13人が出場。予選は3グループに分かれて行われ、各グループ上位2人が決勝に進出した。出場者は、自分が推薦する本のあらすじ、読み応えのある点、感想などを5分間で説明し、発表を聞いた観客からの質問にも答える。最後に投票が行われる。
長谷川さんが紹介したのは、小説「六人の嘘つきな大学生」(浅倉秋成著、KADOKAWA)。人気IT企業の新卒採用選考を舞台に、内定を巡る6人の就活生の姿を題材にしたミステリー作だ。「すべてがひっくり返るほどの、皆さんの人生が変わる大どんでん返しがあります」。長谷川さんはこう言って発表を締めくくり、観客から大きな拍手が上がっていた。
長谷川さんは「面白い本を書いてくれた著者の浅倉さんに感謝している」と言い、決勝大会に向けて、「楽しむことが一番。本の魅力を知って、手に取ってもらえるよう頑張りたい」と意気込んだ。
茨城...円子桃音さん、チャンプ本は「ふたご」
紹介した本を手に「多くの人に読んでほしい」と話す円子さん(15日、下妻一高で)
書評合戦「ビブリオバトル」の高校生の茨城県大会を兼ねた「第46回図書委員中央研修会」が14日、オンライン形式で行われた。県大会には11校が出場し、「ふたご」(文芸春秋)を紹介した下妻一高2年の円子桃音さん(17)が優勝した。
出場者は5分の持ち時間で自分が推薦する本の魅力を語り、その後3分程度の質疑応答を行う。同書は人気バンド「SEKAI NO OWARI」で活躍する藤崎彩織さんが執筆。中学校で出会い、双子のように絆を深めていく男女2人の複雑な関係を描く物語で、直木賞候補作にもなった。円子さんは「頑張れないときこそ心にゆとりを持つことの大切さを教えてくれた」と本の魅力を語った。
決勝大会(特別協力・東京国際大学)は来年1月28日に東京国際大学池袋キャンパスで開かれる。円子さんは「自分が好きな本についてもっと知ってもらい、読んでもらえる機会になれば」と意気込んだ。