第66回 【コラム特別編】ぬまっちを語ろう ~元教育実習生座談会(1)
教育実習生として沼田晶弘先生の指導や薫陶を受け、それぞれ小学校の教師となった方々に、「ぬまっちに何を学んだか」「現在の小学校教育について思うこと」について座談会をしてもらいました。教育実習生の目にぬまっちはどう映ったのか? ぬまっち方式は他の学校でも実践できるのか? 現場の先生ならではの、ホンネ満載の語り合いを4回にわたってお送りします!
■出席者(いずれも仮名)
春川先生 公立小で小学校5年生の担任。教員3年目
夏原先生 公立小で小学校1年生の担任。教員1年目
秋山先生 公立小で2年生(特別支援学級)を担任。教員1年目
冬木先生 公立小で1年生を担任。教員2年目
司会:石田汗太(読売新聞教育ネットワーク事務局)
♦やっぱり第一印象は悪かった!
――まず、みなさんと沼田先生との出会いからお願いします。
秋山 大学3年の時、世田谷小での教育実習でお会いしました。第一印象は「何だこの人は」(笑)。なにしろ真っ赤なポロシャツに立ち襟、金のネックレスですから......。でも実習ではすごく気にかけてくださって、自分と似たような空気を感じたのか、かわいがってもらいました。今も交流を持たせていただいています。
冬木 実習の時は教員になるかどうかまだ迷っていました。先生を目指してはいたんですが、周りの教員志望の友だちとの温度差をすごく感じていたんです。そこで沼田先生の実習を受けて、「先生っぽくない感じ」に衝撃を受けました。自分の思っていた教師のイメージと違う。「先生にもいろんな形があっていいんだ」と、すごく気分が楽になりました。その後も進路を沼田先生に相談したり、いろいろな話を聞かせてもらったりする中で、今の自分がいるという感じです。
春川 私はこのメンバーの中では異色で、世田谷小での実習でしたが、沼田先生とは違うクラスだったんです。みなさんと同じで、先生の第一印象はよくありませんでした(笑)。でも沼田クラスの実習生たちがすごく楽しそうだったし、これほど型にはまっていない授業をしているのにちゃんと認められているし、どうしてこういうことができるのか知りたくて......。先生が子どものことをどう思っているのかにも興味があったので、その後、よくお話をさせてもらっています。
夏原 私にとって最初のショックは、実習授業の最初に「自己紹介して」っていきなり振られて、当たり障りのない好きな食べ物とか映画の話をしたら、「つまんな!」と言われてしまったことです。今思えば、子どもとはいえ一人の人間。自分のことを知ってもらうために自己紹介するのだから、子ども扱いせずに、もっと面白くいけ!っていう先生の思いだったんだと感じます。
♣楽しかった「放課後の時間」
――みなさん、総じて第一印象が悪いようです(笑)。どのあたりで印象が変化するんでしょうか。
冬木 実習生は放課後に残って、次の授業をどうするか指導教官と話し合う「協議会」を行います。沼田先生との協議会はしばしば雑談で脱線するんです。だから長くなる(笑)。でもその中で、沼田先生がプライベートな話もざっくばらんにしてくださるので、こちらも踏み出しやすい。それでだんだん打ち解けていく感じです。
夏原 他の実習生の話を聞いても、協議会でそういう脱線は少ないようです。指導案ができたらさっさと帰るのが普通。でも、その脱線が楽しかったかもしれない。その脱線したところからアイデアが浮かんだり、新しい考えをもらったりできたから、面白かったんだと思います。
冬木 だから実習が終わった後も、このようにお互いつながりが続くのかもしれない。あの放課後の時間は、今振り返ると大切だったと思います。
春川 大人だって第一印象がこうなんだから(笑)、子どももきっと最初は「怖い」って思うんですよ。でも実はとてもフレンドリーで、いつも近くにいてくれる。子どもに「沼田先生」でなく「ぬまっち」と呼ぶことを許しているのもそのひとつ。私たちも子どもも、最初の悪い印象がどんどん変わっていくんですね。
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