海外で学ぶ・リレーエッセー[69]マレーシア、サンウェイ大 アジアの風を感じて

マレーシアの国立モスクで

愛媛県立松山東高校卒、マレーシア、サンウェイ大学1年(20年9月時点)

中野 真泉 さん

Nakano Manami

 首都クアラルンプール市内から電車で1時間。「SUNWAY CITY」と大きく掲げられた看板をくぐって私はサンウェイ「王国」に足を踏み入れた。サンウェイ大学はマレーシアを代表する大財閥が運営する大学である。周囲をサンウェイが経営する病院、遊園地、ショッピングモール、ホテルが取り囲んでおり、そのエリアはさながら「王国」と呼ぶのにふさわしい。

 

 もともとはアメリカの大学を志していたが、知人の勧めでリサーチに訪れたマレーシアに一気に引き込まれてしまった。そして今は大学での学びに、何よりこの国の人たちの柔軟な人柄に私は心底魅了されている。

 

 サンウェイでの学びが魅力的なのは、その授業が「企業目線」で展開されることにある。例えば私が専攻しているビジネスマネジメントで今取り組んでいる課題は「グーグルのマネジメント方法について」である。コロナによって生じた問題に同社が立ち向かったマネジメント方法が実際にどのように影響したのかを分析するものだ。教授は内容が正しいかどうかではなく、その理由付けが適当かどうかという視点で評価する。今までは消費者としての立場でしか物事を見てこなかったが、生産者、あるいはビジネス視点を持って見てみるとまた違った気づきがあり、実に興味深い。サンウェイではさらに、このような学びを積み重ねて力をつけ、2年後には多岐にわたるグループ企業で存分にインターンを体験できる。つまりその学期は全てが実践ということだ。今より成長した私はどんなジャンルの企業でどんな風に働いているだろう。

 

 そして、私が何より気に入っているのはこの国に流れる、ゆったりとした空気感だ。多民族が混在するマレーシアでは、1か国語しかしゃべれない人はほぼいない。英語、中国語、マレー語、タミル語を相手によって切り替えるのだ。「とりあえず話してみてお互いが わかるものに落ち着いたらいいや」が根本にあり、なんともフレキシブルに生きている。これは言語だけにとどまらず、宗教や食文化にも共通している。とかく宗教は紛争の原因になりがちだが、ここでは中国寺院の向かい側にヒンドゥー教のお寺が、その通りの突き当りにはイスラム教のモスクがあったりする。そこからもこの国のおおらかさが感じられるというものだ。

 

 そんな居心地のいい場所で、学んだマネジメントをどんなビジネスに活かしていくのかを考えながら過ごす大学生活は毎日「わくわく」に溢れている。これからの3年間が楽しみで仕方がない。

 

インターナショナルデーのダンス披露に向けて練習中(左端)=いずれも本人提供

サンウェイ大学

2004年創立の若いマレーシアの私立大学。歴史は浅いが、すでに各種の世界大学ランキングで上位2%に位置している。マレーシア有数の大企業グループの教育財団が運営し、米ハーバード、英オックスフォード、ケンブリッジ大学などと提携関係にある。

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(2020年10月23日 09:30)
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