じぶんごとからはじめるために《コラムのスタートにあたって》

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 国連が定める「持続可能な開発目標(SDGs)」をどのようにして子どもたちに紹介したらいいのだろうか──。読売新聞教育ネットワークのメンバーが皆で考えた結果、うまれたキャッチフレーズが「じぶんごとからはじめよう」でした。

 

 SDGsは17のゴールだけでなく、さらに細分化された169のターゲットがあります。これらすべてを知るだけでも大変なこと。もちろん、たった一人で、これだけの数の目標すべてに貢献することは難しいでしょう。

 

 でも、「達成が困難だから」「自分にはよくわからないことだから」などと言って、これを「他人事」にしてしまうのは好ましいことではありません。どんな小さな一歩でもいいから、ゴールに向けて進むために、まず自分が何をできるか考えてみようという思いが、「じぶんごとからはじめよう」という言葉に込められているのです。

 

 私たちの身の回りでも、ちょっと見渡せば、SDGsの目標達成につながる課題がすぐ見つかるはずです。海洋汚染につながるプラゴミ排出を防ぐにはどういう製品を使うべきか、食べきれる量を意識することでフードロスを防ぐなどといったテーマは、すぐに思いつきます。

 

 しかし、自分の身辺だけで考えていては十分だとは言えません。SDGsが掲げる地球規模の課題は、まだまだたくさんあるからです。そのためには、もっと多くの情報に触れ、自分が知らなかった問題を知り、その背景を深掘りすることも必要になります。そして、その都度、自分には何ができるかを考えることができれば、いろいろな問題に対して、まずは自分ができる取り組みを思いつくことができるようになるはずです。

 

 

 そのためのツールの一つが新聞です。読売新聞には、SDGsの目標達成につながるためのヒントがたくさんあります。地球規模の気候変動のテーマから、遠い外国での干ばつ、飢餓。あるいは、そうした問題に起因する国家間の紛争、民族間の争いなど、そうした最新のニュース・情報が、日々の新聞には記事としてコンパクトにわかりやすくまとめてあります。

 

 読売新聞にはこうしたテーマを取材する様々な専門記者がいます。記者たちはこうしたテーマについて、豊富な知識を持っているだけではなく、それをわかりやすく平易な言葉で伝えることを常に心がけています。このコラムでは、そうした記者たちが取材を通じて、考え、感じた「じぶんごと」を紹介していきます。

 

 電気のスイッチをこまめに切る、冷暖房の設定を変えて効きを少し弱めにする──。そうした「じぶんごと」の積み重ねが、温暖化、気候変動といった地球規模の課題解決には不可欠なように、自分の手に余ると思っていたテーマであっても、できることは必ず見つかるはずです。そのためには、まずは課題をよく知ること。それが解決に向けた最初の大きな一歩です。ぜひ学校現場でも、取り組んでいただきたいと思います。子どもたちが仲間とともに考え、そして行動へとつなげることができるよう、私たちはこれからも、そのヒントを提供していきたいと思います。(吉池 亮)

 


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(2021年9月 2日 10:43)
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