「アメリカ中間選挙 なぜ注目?」 月刊ワークシート vol.6

9月5日読売新聞朝刊掲載「アメリカ中間選挙 なぜ注目?」の解説ページです。「新聞@スクール月刊ワークシート」は毎月初旬に連載中!


【質問】(4)中間選挙が世界から注目される理由を説明しましょう。


トランプ大統領が就任して2年になります。

 アメリカでは、次の大統領選挙までの間の2年目の年に「中間選挙」が行われます。「大統領選挙」は知っているけれど、「中間選挙って?」という声を聞きます。今回のワークシートでは、アメリカ大統領選挙の中間選挙を知るという目的で取り組んでみましょう。

 

アメリカの大統領は、国際政治や経済、軍事に大きな影響力を持っていると聞きました。だからかな、トランプ大統領の言葉に、新聞やテレビも敏感に反応しているような気がする。

 

「トランプ大統領がツイッターで・・・」というニュースもしばしば聞きますよね。こんなに大きなことがツイッターで? と、いつも疑問がわいてきます。時代の流れなのでしょうか・・・。

 

日本はアメリカと経済や文化的な結びつきも強いので、大統領がどんな発言をしたか、どのような施策を打ち出したか、には敏感です。

 

アメリカの大統領にだれになるかが、日本に影響するということですね。

 

そうです。だから、次の大統領選挙の間に行われる「中間選挙」も、「アメリカの選挙なんて関係ない」と思わずに、注目してみることも大切ですね。

 

そもそも、アメリカの中間選挙って?

 

アメリカの大統領の任期は4年ですが、2018年11月6日に行われる中間選挙は、大統領の任期の真ん中で、国民の評価(記事には「通信簿」と書いてあります)を受ける大きな規模の選挙です。

 

トランプ政権が問われるということですね。

 

そうなのです。これからのトランプ政権の運営にも影響が大きくなるので、とても重要な選挙と言われます。

 

トランプ政権では、連邦議会での多数党は、大統領と同じ共和党です。そのため、政策が実現しやすくなっていました。しかし、この中間選挙で、共和党が負けてしまった場合は、今の政策や政治の方向性に影響が出るのです。

 

共和党が勝つか、民主党が勝つか、によって政治が変わる?「パリ協定離脱」「TPP離脱」「不法移民対策」「高い関税」・・・「アメリカ・ファースト」のトランプ大統領の政策はどこに向かっていくのかな。

 

中間選挙の影響を、国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソンさんも、紙面のインタビュー記事の中で、わかりやすく教えてくれていますね。

 

大統領選挙の年は、なんとオリンピック開催の年なんですね。だから中間選挙が、今年2018年に行われるということなんだ。

 

ところで、なんで、11月6日に行われるの?

 

アメリカでは、「11月第一月曜日の属する週の火曜日」を選挙の日としているのだそうです。

 

選挙がいつ行われるかが決まっているんですね。わかりやすい仕組みだなあ。ここが、日本とは違うんですね。

 

日本でも、国会議員の任期は決まっていますが、衆議院の解散総選挙がしばしば行われているように、首相には、衆議院を解散する権限があるのですね。アメリカの連邦議会には解散ということはありません。

 

この夏休み中のKODIOMO新聞(2018年8月23日)には、「州知事選14歳が挑戦」なんていう記事もあって、驚いちゃいました。

 

アメリカ北東部のバーモント州の州知事選挙の予備選挙に、14歳の少年が立候補したという話題ですね。立候補したイーサン・ソナボーンさんは、この9月から高校1年生。「若い人たちに政治に興味をもってもらいたい」という理由で立候補したそうです。8月14日選挙の日には、残念ながら落選してしまいましたが、こうした10代の若者の積極的な政治参加には注目したいですね

 

日本の都道府県の知事選には、日本の10代の若者も立候補できるのですか?

 

残念ですが、立候補はできません。日本の選挙のルールでは、都道府県の知事選に立候補できる「被選挙権」は、30歳にならないと得られないのです。

 

バーモント州知事選の被選挙権は、「選挙前日までにバーモント州に4年以上住んでいること」が条件で、年齢の制限はありません。アメリカなど外国の選挙制度の違いを調べてみるのも面白いかもしれないですね。

 

アメリカの連邦議会の上院と下院って、どう違うの?

 

アメリカの国会にあたる連邦議会は二院制です。上院は州の代表で、住民による直接選挙によって全米の50州から2名ずつが選ばれます。下院は、それぞれの州の人口比によって割り当てられた議席が決められています。下院は、日本の衆議院に似ています。

 

現在の議席数を、新聞で見ました(2018年8月9日朝刊)

・上院・・・共和党 51議席、 民主党47議席・無所属2議席

・下院・・・共和党236議席、 民主党193議席

上院は、議席の差が2議席なんですね。

 

11月6日の中間選挙(本選挙)にむけて、予備選挙は3月から始まっています。これは、本選挙に進む候補者を決める選挙です。この予備選挙は、18歳以上で選挙登録をしていれば、大統領を選ぶ選挙に一般の国民が参加できるということです。

 

えっ、どういうこと?

 

つまり、アメリカの大統領選挙というのは、各州で選ばれた「大統領選挙人」が大統領を選出する「間接選挙」なんです。国民が大統領候補者本人に直接投票しているわけではないのですね。

 

日本では、内閣総理大臣を決める時に、一般の国民が投票するしくみはない・・・ですよね。

 

そうですね。これも違いでしょうか。今回の予備選挙の結果では、女性の立候補者数が過去最多になったり、トランスジェンダーの人やイスラム系の女性の立候補者が出たり、社会の多様性が見えてきました。

 

アメリカも日本と同じで、選挙権は18歳以上だと知りました。政治に参加するには、どのようなことをしなければならないか、そんなことを考えるチャンスとして、アメリカの中間選挙の動きに注目したいです。

 

頼もしい。10代の若者に期待しています!!!

 

【参考記事】

≪中間選挙に関する参考記事≫

●米2州知事選 民主が連勝(2017年11月9日 読売・朝刊)

●共和 牙城で辛勝~オハイオ州下院補選(2018年8月9日 読売・朝刊)

●貿易 米の圧力警戒 (2018年8月12日 読売・朝刊)

●州知事選14歳が挑戦(2018年8月23日 読売KODOMO新聞)

≪主権者教育に関する参考記事≫

●18歳の1票「世界の学校」米・シカゴ(2015年10月31日 読売・朝刊)

●18歳の1票「世界の学校」米・カリフォルニア(2016年4月30日 読売・朝刊)

●18歳の1票「選挙制度」(2017年4月1日、4月8日、4月15日、4月22日 読売・朝刊)

 

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(2018年9月 4日 17:25)
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