「のぞいてみよう『将棋の世界』」 月刊ワークシート vol.5

8月1日読売新聞朝刊掲載「のぞいていよう『将棋の世界』」の解説ページです。「新聞@スクール月刊ワークシート」は毎月初旬に連載中!


【質問】(3)将棋の「八大タイトル」を調べてみましょう。


将棋は日本の伝統文化です。今まで、将棋に興味がなかった人も、この夏休みに楽しむことができたらいいですね。

 アットス君は、今までに将棋をしたことがありません。今回の月刊ワークシートは、「はじめての将棋入門教室」という気持ちで取り組みました。将棋が大好きな人は、アットス君に、ゲームの仕方や楽しさを教えてあげてください。

 

将棋の世界は「戦国時代」に突入した、ってどういうことですか。

 

7月17日に行われた棋聖戦で、二つのタイトルを持っていた羽生善治竜王が、豊島将之八段に敗れました。そこで、八大タイトルを8人の棋士で分け合うことになりました。複数のタイトルを持つ棋士がいないのは31年ぶりだそうです。

 

そういうことか。

 

八大タイトルと、それを持つ棋士を調べてみました。

竜王(羽生善治)、名人(佐藤天彦)、叡王(高見泰地)、王位(菅井竜也)、王座(中村太地)、棋王(渡辺 明)、王将(久保利明)、棋聖(豊島将之)

 

将棋の八大タイトルの最高峰が竜王ですね。

 

 


【質問】(4)中学に在学中、プロになる資格を取った棋士は5人います。夢の実現と学校生活との両立について、あなたの考えを書きましょう。


 

将棋のプロになるには、どうしたらいいの?

 

将棋のプロ棋士は、日本将棋連盟から認められた「将棋が職業」の人たちです。プロになるには、日本将棋連盟の棋士養成機関・新進棋士奨励会に入り(入会には奨励会員と対局するなどの試験があります)、原則26歳までに四段に昇段する必要があります。

 

プロの壁は四段昇段なのですね。

※女性棋士には、男性とは別枠のプロ養成システムがあります。

 

四段などという「段位」って何ですか?

 

「段位は棋士の実力を示します。プロにとってのステータス」と言います。全員が四段からスタートする将棋のプロ棋士は、その後の成績で、九段まで昇段ができます。

 

将棋のプロ棋士の根幹は、対局を行ってお金をもらうことです。タイトル戦は八つあります。

 

もっとも歴史が古いのは、1935年に創設された名人戦で、もっとも新しいのが、2017年度棋戦から昇格した叡王戦です。羽生善治竜王は、1996年2月から7月にかけて、当時の七代タイトルすべてを保持していました。抜群の強さを誇る羽生さんの1強時代だったのです。

 

羽生さんはすごい人なのですね。みんなの目標なんだ。

 

ところで、タイトル戦の条件って何ですか?

 

(1)原則全棋士参加 (2)タイトル保持者は、予選を勝ち上がった挑戦者とタイトルマッチを行うことです。

 

だから、7月17日の棋士戦で、タイトル保持者である羽生善治竜王と挑戦者の豊島将之八段が対局したのですね。

 

羽生さんは、今年の4月に史上最速の1400勝を達成しています。今回の棋士戦は、タイトル通算100期という前人未到の記録がかかっていました。

 

現在の将棋界では、幅広い世代の棋士が活躍しています。歴代1位の29連勝を2017年に達成した藤井聡太七段(16歳)などが実力を上げているのです。

 

「中学生でプロ棋士に」とあるけれど、対局が何時間にもなることがありますよね。夜遅くまで続くこともある。中学生には、労働時間での約束事があるのでは。将棋のプロの世界はどうなっているのですか? 

 

少し難しい話なのですが、プロ棋士は労働基準法の適用を受けないのだそうです。つまり、深夜労働などの制限がなく、14歳だった藤井さんも夜遅くまで対局できたのです。

 

そうだったんだ・・・はじめて聞くことばかり。

 

月刊ワークシートの記事には、「プロの卵」たちが対局の記録係をしているとありましたね。これもプロへの道の修行なんですね。

 

プロの世界は忙しいと思うけれど、プロ棋士はどれ位忙しいの?

 

平均的な将棋のプロ棋士の対局数は、年に20~30局。対局以外の主な仕事は、(1)アマチュアへの指導対局 (2)将棋教室の講師 (3)タイトル戦の大盤解説などです。週に2~3回は研究会にも参加して、公式戦で勝つために、実践のトレーニングをしているそうです。

 

棋士の皆さんって、けっこう忙しいのですね。

 

ところで、藤井聡太七段は、中学生のときにプロ棋士になりました。学校生活は、どのようにしていたのだろう。インタビューで、むずかしい言葉を使っていたのには、驚きました。

 

「僥倖(ギョウコウ)としかいいようがない」とか「望外(ボウガイ)の結果」とかですね。これらの言葉はふだんあまり耳にしませんね。

 

『ギョウコウ』って、調べてみたら「思いがけない幸運」という意味。なんでこういう言葉を知っていたのかな。

 

読書が好きなようですよ。藤井さんが好きな作家は司馬遼太郎だそうです。それに小学4年の頃から新聞を読み始めたと言います。藤井さんは今でも、一面から社会面まで目を通しているそうです。

 

「活字に親しんでいた」ということですね。それに、藤井さんは礼儀正しい。

 

将棋は最初の一歩は礼儀作法から、と言われています。「礼に始まり礼に終わる」。「お願いします」という挨拶から始まり、自分の負けが確定したときに「負けました」と言うのが将棋の作法です、と将棋教室の先生が教えてくださいましたよ。

 

自分の負けを認める、というのはつらい瞬間ですよね。「負けました」なんて、なかなか言えない言葉だなあ。

 

ところで、プロ棋士を目指す人たちは、学校生活と将棋の二つの世界を、どのようにしてうまくやっていたのかな。

 

17歳でプロ棋士になった糸谷哲郎八段(29歳)のインタビュー記事を読んだことがありますが、とても参考になりましたよ。

 

糸谷さんは、大阪大学の大学院で哲学を勉強していたのでしたね。将棋と勉強との両立はどうやっているのかな。

 

「勉強も、将棋も、やる気のない時にやってもダメ。やる気が出てきたときに集中してやる」のがコツ。集中できる時間には限りがあるので、1時間半~2時間ほど取り組んだら、別のことをしていたそうです。

 

藤井さんも、授業中は集中して話を聞いていると、中学校の副校長先生が話していた記事を読みました。やはり、集中力

 

今月の記事の中では、糸谷さんと同じように17歳でプロ棋士になり、昨年王座を獲得した中村大地さんも、「中高時代は周りに比べて、勉強にも将棋にも費やす時間が限られていた。将棋や将棋で行き詰ったら勉強、勉強に気乗りしなければ将棋。切り替えを大切にし、持ち時間で集中するようになった」と語っていますね。

 

限られた時間をいかに使うか、ですね。集中して取り組む、そして自分の好きなことを続ける。部活動と勉強の両立にも、同じことが言えそう。

 

藤井さんは、小学4年生のときに「名人を超す」という夢を書いたそうですよ。そして、14歳2か月でプロ入りし、前人未到の公式戦29連勝を達成。佐藤天彦名人や羽生善治竜王らを破りました。これからに期待ですね。

 

さあ、アットス君、私たちも、夏休みに、将棋にチャレンジしましょう。

 

【参考記事】

●ジュニアプレス「将棋 逆転のコツ学ぶ」(2016年12月17日/読売・夕刊)

●「藤井四段『先生の姿勢見習う』」(2017年6月21日/読売・朝刊)

●「14歳 伝説の一歩」(2017年6月22日/読売・朝刊)

●「基礎からわかる将棋のプロ棋士」(2017年6月25日/読売・朝刊)

●「藤井四段 棋界に新風」(2017年6月27日/読売・朝刊)

●「藤井四段の飛躍の1年」(2017年9月30日/読売・朝刊)

●「藤井四段 進学の一手」(2017年10月26日/読売・朝刊)

●「羽生伝説 誕生の舞台」(2018年1月16日/読売・朝刊)

●解説「藤井さらに進化」(2018年3月14日/読売・朝刊)

●「藤井最年少『七段』」(2018年5月19日/読売・朝刊)

●「神速の昇段」(2018年5月19日/読売・朝刊)

●「羽生『100期』持ち越し」(2018年7月18日/読売・朝刊)

●解説「将棋界『群雄割拠』時代」(2018年7月21日/読売・朝刊)

 

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(2018年7月31日 19:45)
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