「SNS 便利だけど危ない!」 月刊ワークシート vol.4

7月4日読売新聞朝刊掲載「SNS 便利だけど危ない!」の解説ページです。「新聞@スクール月刊ワークシート」は毎月初旬に連載中!


【質問】(3)SNSとのつきあい方について、賛成できるものに〇、できないものに×をつけましよう。


アメリカのアップル社は、必要以上に長い時間利用する「スマホ依存」を防ぐねらいで、深夜に端末を使えなくするなど、親が子供の利用時間を管理する新しい機能を導入するそうですよ。

【じゅんこ先生の解答例】

東京都教育委員会は、平成27年11月に、都内全公立学校の児童・生徒が、いじめ等のトラブルや犯罪に巻き込まれないようにするとともに、学習への悪影響を防ぐため、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を利用する際のルールを策定しました。それが、「東京都が出したSNSルールの目安」です(>>東京都教育委員会ウェブサイト参照)。このルールにもとづいて、アットス君と一緒に考えてみましょう。

 

(1)夜、ベッドやふとんに スマホを持ちこまないようにしている。

 

これは、夜更かし防止のため。ついつい、夢中になってスマホを使い続けちゃうんですよね。

 

(2)フィルタリングをつけ、アクセスする範囲を限定している。

 

これはスマホを買ったら、絶対にしなければならないことだと言われました。インターネットを使うには、当たり前のことだって。

 

フィルタリングには、有害情報の閲覧を制限する機能があります。でも、警察庁によると、被害にあった子供の9割が利用していなかったそうです。お家の人たちは「子供を信用していた」と答えているようですが、有害情報がどれだけ危険か、警戒心の低さが被害に結びついてしまったのですね。

 

(3)自分の写真やよく行くお店などをSNS上に、何度ものせている。

 

個人情報は基本的には公開しない、というのもSNSやネットのつきあい方の基本と聞きました。一度ネット上に流れた情報は、消し去ることができないし、自分の居場所を特定することになって、犯罪に巻き込まれる可能性が高いよって言われました。注意、注意!!

 

そうです。例えば、買ってもらった自慢の自転車に乗っている自分の写真を投稿してしまうのは、危険、危険。写真に位置情報が記録されていると、自宅がわかってしまうのですね。

 

(4)メール送信前に読み直すことを習慣にしている。

 

実は、苦い経験があるんです。

 

 

どんな経験?

 

LINEで、友達のS君と気まずくなって。こんなやり取りだったんです。

S君が、一緒に海に行きたいって

なんで行くの?

 

やっと誤解が解けたけれど・・・言葉の使い方に失敗しました。だから、メールを送信するときは、何度も何度も読み直すことに。でも、LINE仲間からは、いつも返事が遅い、と文句を言われる

 

そんなことがあったのですか。「なんで行くの?」・・・・アットス君は、どういう交通手段で行くのか、って聞きたかったのでしょう?ところが、S君には「アットス君は自分のことは好きではなくて、一緒に行くのが嫌なんだな」と誤解されたというわけですね。気まずくなっちゃったんだね。文字だけでのやりとりは要注意ですね。

 

(5)友達がSNSで知り合った人と会うことになったら、一緒に行く。

 

これは、絶対しません。友達にも「行ってはダメ」と言って止めます。だって、相手がどういう人か、信用できるのか、SNSで知り合っただけではわからないでしょ。

 

昨年10月、神奈川県座間市で大きな事件がありましたね。ツイッターで知り合った人たちが、事件に巻き込まれたのです。

 

SNSで知り合った相手について「やりとりを重ねたから信用できる」とか、「趣味が同じ人だから悪い人ではない」と思う人が多いそうです。

 

アットス君は、SNSで知り合った相手が信用できるかどうかを、どうやって見極めますか。

 

ん・・・・むずかしい。みんなはどう考えているのだろう。みんなの考えも知りたいなぁ。もし、趣味や好みが合う人と、サイト上で知り合ったら、まず、家の人や信頼している大人にも相談したいと思うけれど。でも、絶対に会わない、と決めています。

 

人を疑うというのは気持ちのよいものではありませんが、中には悪意をもって近づいてくる人もいるのです。「会ったことのない人とはむやみに友達にならない」「現実の世界で会おうとする人を警戒する」ということは、自分を守る手段ですね。

 

>>内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)のウェブサイト参照

 


【質問】(4)兵庫県の中学校や東京都の例にならい、あなたのSNSルールを考えましょう。


 

アットス君は、どのような「SNS"アットス"ルール」を考えましたか?

 

こんなことを決めてみましたよ。

1)SNSは一日1時間までにする。

2)週に一日はスマートフォンをお休みする。  

3)食事中は、電源を切る。

4)自分の部屋では使わない。

5)ネットで知り合った人とは会わない。

6)決まった友達とだけ使う。

そして、大事なことは、直接話す。以上!

 

なるほど。参考になりますね。このように「利用時間」や「利用・目的のルール」を決めておくといいですね。視力への影響から、「利用は1日1時間を上限に」とすすめられているそうです。アットス君も、それにならったのかな。それから、フィルタリングをつけるのも忘れずにね。

 

是非、みんながSNSを使う上で気をつけていること、身を守るための対策をおしえてほしいです

 

ところで、スマートフォンでは、SNSや簡単なオンラインゲームなどいろいろ楽しむことができるようになっていますが、最近の新聞には、「スマホ依存症」「ゲーム依存症」という言葉が出ています。専門家によると、中高生のインターネット依存は国内に52万人と推計され、ほとんどが「ゲーム依存症」だそうですよ。

 

日本で初めてネット依存症の外来を2011年に開設したのは、神奈川県横須賀市にある「国立病院機構久里浜医療センター」です。センターのウェブサイトには「スマホ注意報」「PC、スマホ使用ルール作りのポイント」というページがありました。

 

センターの樋口進院長は「未成年の依存症が深刻になりやすい」と指摘しています。センターの調べによると、「朝起きられない」「欠席する」「物を壊す」「成績低下」「友人との関係悪化」「引きこもり」「家族への暴力」などという問題がおきているそうです。治療は困難、しかも医師不足と言われています。

 

最後に、今、SNSは危ない、という面が強調されていますが、これは「SNSの影」の部分です。SNSは便利なものでもあります。使い方次第。そこで、「SNSの光」の部分を見てみませんか。

 

新聞には、SNS利用についての記事がいくつかありました。例えば、

〇厚労省による若者の自殺防止のSNS相談窓口が設けられた。

〇教育委員会がいじめ・自殺相談窓口をLINEで開設した。

〇熱中症の危険度指数化 伝達にSNS活用

 

SNSは、LINEやツイッターなど、利用者は短い文章をインターネット上に投稿し、近況を伝えたり、互いに情報交換したりできるしくみです。それを上手に活用した取り組みですね。

 

そういえば、昨年のことでしたが、「SNS発のブランド」「アパレルメーカー 人気投稿者と商品開発」という記事を読んだことを思い出しました。「SNSを効果的に使えば消費者のニーズをいちはやくつかめる」ということでした。

 

夜、帰りが遅くなったときに、「これから帰るよ」と送信すれば、お家の人も安心。また、位置情報など、必要な情報をSNSで伝え合えれば、いろいろ便利に使えるのではないかな。東日本大震災のときに旅行中だった人が、SNSを通じて被災地から地元に帰るためのサポートをしてもらったという例もあるそうです。 

 

そういう事例もあったのですね。このようなSNSの上手な使い方を、お互いに交換し合うことも大切だと思いませんか。いざというときに使えるSNS。その便利な使い方をみんなで共有したいですね。

 

【参考記事】

●「新学期前に考えよう!SNSの使い方」(2018年3月23日/読売中高生新聞)

●デジタルの時間「SNSで知り合った人と会おうかな その人 信用できますか」(2018年4月25日/読売・朝刊)

●「18歳未満 SNS被害最悪」(2018年5月4日 読売中高生新聞)

●スキャナー「SNS支援試行錯誤 若者に身近 相談多数に」(2018年5月13日/読売・朝刊)

●命の葛藤1「文字が娘奪った 長時間LINE友情ひび」(2018年5月13日/読売・朝刊)

●命の葛藤4「SNS相談 寄り添う瞳」(2018年5月17日/読売・朝刊)

●社説「SNS被害最多 規制と教育で子供を守りたい」(2018年5月21日/読売・朝刊)

●「熱中症の危険度指数化へ 伝達にSNS活用 都、五輪までに」(2018年5月30日/読売・朝刊)

●「スマホで夜更かし防止」(2018年6月6日/読売・朝刊)

●「ゲーム依存 困難な治療」(2018年6月20日/読売・朝刊)

●社説「ゲーム依存 精神疾患として治療の充実を」(2018年6月24日/読売・朝刊)

●デジタルの時間「ゲーム依存ってどんな病気かな のめり込み 生活に支障」(2018年6月27日/読売・朝刊)

 

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(2018年7月 3日 17:54)
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