「自動運転で変わる未来」 月刊ワークシート vol.8

11月7日読売新聞朝刊掲載「自動運転で変わる未来」の解説ページです。「新聞@スクール 月刊ワークシート」は毎月初旬に連載中!


【質問】(3)自動運転の技術が進むと、どんなことができるようになりますか。


 運転支援の技術で、わたしたちの社会はどう変わるのでしょうか。一緒に考えてみましよう。

 

 

じゅんこ先生、こんな記事がありましたよ! 

「お迎えに参りました」ってタクシーが来たけど、えっ運転手が乗っていない!?こんなことがそう遠くない未来に実現しそうです。東京都で自動運転タクシーの実験が始まりました。(2018年9月6日 読売KODOMO新聞「自動タクシー実験」)

 

9月6日の読売新聞朝刊には、東京都の小池知事が、タクシー大手の「日の丸交通」などが都内で実証実験を行っている自動運転タクシーに試乗したという記事もありますね。

無人のタクシーが、事前に募集したお客さんを有料で乗せ、大手町から六本木間の公道約5キロを往復したという内容です。

 

公道で営業運転したのは、世界初!! なんだって。

 

 

ところで、どうして自動運転タクシーをつくろうとしているか?
 アットス君は記事を読み取れたかな。

 

それは、タクシーの運転手の数が足りなくなっているからですね。
2020東京五輪・パラリンピックでは、外国人がたくさん来日すると予想されているのに、そのときにタクシーが足りなくては困る、とうわけですよね。

 

そうです。人手不足解消のためもあります。だから、小池知事は、2020東京五輪・パラリンピックでの導入案を披露したのですね。人手不足は、タクシーだけの問題ではないですから、期待は大きいです。

それと、免許を返上した高齢者らの移動手段として活用する案も出しました。高齢者などが、安心してお出かけができるしくみでもあり、暮らしやすい生活が実現しますね。
だから、知事は、自動運転タクシーを「重要な社会基盤の一つにしたい」とも話しています。

 

タクシーだけでなく、自動車の自動運転技術が進むとできることを考えてみたら、いろいろ思い浮んできました。

 まず、なんと言っても、自動運転の第一の目的だった「交通事故をなくす」こと。ミスは人が起こす。だから、技術が進むことで、交通事故を防げるんですね。

 

DETA欄の折れ線グラフが、いかに人間のミスによる交通事故が多いかを物語っています。これを大きな目的として、「自動運転技術」が進んでいったのですね。

 

その他に、GPS(全地域測位システム)などの操作によって、道路の渋滞を避けて運転することができるんじゃないかな。そうすると、時間もかからなくなるし、コストも減るというよさが出てきますね。

 

アットス君がよく利用している通販の商品も、もっと早く届きます。
 

 

じゅんこ先生、知っていたの?

 

はい、知っていました。密かに観察していました。

それから、「運転は大好きだから、自動運転は物足りない。でも、駐車するのが苦手だから、その時は自動運転に切り替えればいいんだ」なんて言っていた人もいましたよ。しかし、完全自動運転への道のりは、まだ険しいのです。

 

アットス君は、自動運転にレベルがあることを知っていた?

 

日本では、衝突しそうな時に自動的にブレーキがかかる自動車や高速道路で車線を保って走る自動車までは売られているそうです。これは、どのレベルなのかなぁ。

 

 

自動運転のシステムには6段階あるんですって。
   「レベル0」・・・人がすべてを運転する
   「レベル1」・・・アクセル、ブレーキ、ハンドル操作のうちどれか一つを自動化する
   「レベル2」・・・いくつかの操作を自動化する 
   「レベル3」・・・高速道路などで車がすべての操作をするが、緊急時は人が操作する
   「レベル4」・・・高速道路などで車がすべての操作をする。
   「レベル5」・・・あらゆる場所で車がすべての操作をする。

 

「レベル2」までの車は売られているんだ。

 

 

今は、車がドライバーの運転を助ける「運転支援」です。人が乗り、人の目で監視している車が走るという段階です。

ところが、完全に機械が監視するシステムになる、つまり「運転手がハンドルを握らなくても走る」という意味の自動運転の車は「レベル3」からです。公道で自動運転で走ったタクシーなんて、本当に驚きなんですね。

 

やっぱり完全自動化までの道のりは険しい。

でも、完全自動になったら、運転者も本を読みながら目的地に行くことができるわけでしょ?

 運転したいときは自分で運転して、疲れているときは自動運転にする・・・なんか楽しくなっちゃうな。

 


【質問】(4)完全な自動運転の実現までに、考えなければならないことは何ですか。開発に取り組んでいる技術者の話から考えてみましょう。


 

完全な自動運転が難しいのは、人間は運転する際、「目や耳で確認する(認知)」「頭を使って考える(判断)」「手足を動かす(操作)」の三つ動作を一緒にすることができるけれど、これを機械が行うのは、そう簡単ではないということなんだそうです。

 

やっぱり、人間はすごいなぁ。 

自動運転で置きおきかえると、次の機能を必要とするということかな。
①車の位置や周辺状況をカメラやセンサーで把握する「認知」
②状況に応じて人工知能(AI)などで適切な対応を選ぶ「判断」
③判断に基づく「操作」

 

アットス君、よく知っているね。

 

これは新聞からの情報です。

2018年9月22日(読売新聞・夕刊)「自動運転向け3D地図着々」という記事には、自動車の自動運転技術の精度を高める3次元(3D)地図の開発が官民連携で進んでいる、と書いてありました。 

 

「認知」を支えるのが3D地図ということですね。
  2020年の自動運転の目標に向けて、着々と進んでいるということがわかります。

 

でも、技術の進歩にはお金がかかりますよね。いくら優れているものでも、コストが高ければ、買う人が増えないし、そうしたら、使われない?

 

そうなんです。技術開発をしている技術者は、性能を高めつつ、多くの人が買えるように価格を抑える工夫をすることが必要と言っています。

 

それと、道路がゴチャゴチャしていたら、自動運転車はスムーズに動けないから大変だ。

 

アットス君のその心配に対して、自動運転の技術者は、死角の少ない道路の環境を整備しなければならないとも言っています。

 

 

自動運転のしくみの中で、今課題になっていることは、万が一事故が起きた際の責任をどうするかが不明瞭だということだそうですね。これはとても大きなことだ。

 

今は、責任はドライバーにあるということですね。

 11月2日に、こんなニュースが飛び込んできました。
「自動運転車」という表現は、ドライバーが運転操作を行わなくてよいという誤解が生じる恐れがあるので、これからは、「自動運転車」ではなく、「運転支援車」などと呼ばれることになったというのです。
今は、自動車の自動化は、あくまでも「運転支援」です。人が乗って、必要な監視をしなければならないのですね。

 

 


【質問】(5)自動車を含めた「乗り物の未来」は、どうなると思いますか。みんなで話し合いましょう。


 

8月下旬の新聞記事に、「空とぶタクシー欧州注力」という見出しで、自動運転の技術を応用した研究開発が紹介されていましたね。

 

地上の都市交通はいっぱい、いっぱい。それを解消するために新たな交通手段というような話だけれど、これって、自動車なの?

 

すいぶん昔、SF映画で、未来都市に空飛ぶ自動車が飛んでいる光景がありましたっけ。子どもの頃の空想の世界が実現しようとしているなんて。

 

じゅんこ先生の子どもの頃の空想が実現、ということは、ここでみんなで考える「乗り物の未来」は、実現可能という夢があるんですね。
 絵で書いたり、設計図や文章で書いたりして、残しておくといいね。

 

一つ思いついたことがあるのだけれど、先日、バスの運転手さんが失神をして、大きな事故を起こしたニュースがありましたね。これからの車には、運転者の体調を測定をする装置がついていたら、安心だろうな、と思っているんです。運転席についたら、そのまま体調のデータが出る、という具合に。
運転する人も、乗る人も安心。

 

高齢者の方が運転するときも、これで安心ですね。人生100年時代だもの。
じゅんこ先生の案、採用しま~す。

 

【参考記事】

■ 空飛ぶタクシー欧州注力(2018年8月27日 読売・朝刊)

■ 自動運転商用で加速(2018年8月28日 読売大阪・朝刊)

■ スマート農業実証実験へ(2018年9月4日 読売・朝刊)

■ 自動タクシー実験(2018年9月6日 読売KODOKO)

■ 自動タクシー快速(2018年9月6日 読売・朝刊)

■ 公道で自動運転実験(2018年9月15日 読売・朝刊)

■ 自動運転向け3D地図着々(2018年9月22日 読売・夕刊)

■ 国内4空港で自動運転(2018年9月26日 読売・朝刊)

■ 自動運転ホンダ・GM提携(2018年10月4日 読売・朝刊)

■ トヨタ・ソフトバンク連携~自動運転にらみ新事業~(2018年10月5日 読売・朝刊)

■ 次世代カー大転換 官民で【解説】(2018年10月27日 読売・朝刊)

■ 地域限定5G新設~遠隔医療や自動運転~(2018年10月29日 読売・夕刊)

■ パナ未来の暮らし提案(2018年10月31日 読売大阪・朝刊)

■ 「自動運転」現行車は使えず(2018年11月2日 読売・朝刊)

 

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(2018年11月 6日 05:25)
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