海外の日本人学校、補習授業校の生徒のみなさんの作文や詩などを紹介します。今回はカナダ・トロント補習授業校から。作品はいずれも第34回「海外子女文芸作品コンクール*」(公益財団法人海外子女教育振興財団主催、読売新聞東京本社など後援)の応募作品です。
【作文 JFE21世紀財団賞】
「パスウェイシブ・レター」 >>作品はこちらから(PDF)
小6 岡山 凌星
現地校の授業で、日本のイルカの漁業を強く批判する映画を見ました。クラスで日本人は、ぼく一人で他は中国系の生徒がほとんどです。最終的にその映画の主張に反対したのは、ぼくだけでした。日本人として、日本の立場をかばわなければいけない気持ちになりました。その貴重な経験を作品に残したいと思いました。
【作文 優秀】
「ライドフォーハート」 >>作品はこちらから(PDF)
小3 伊藤 一吹
カナダに住み始めて、家族で決めた事。それは、「日本では、経験できない事にどんどんチャレンジしていこう!」でした。その中でも特にライドフォーハートのイベントは、人を助ける事のすばらしさ、やりとげる事のきもちよさなど、新しい発見がいっぱいでした。
★短歌
【佳作】 黒いすみ たっぷりつけて書く漢字 とめはねはらい しっかりできた
小3 中田 雄士
僕は、幼稚園から書道を習っています。先生は、お母さんです、小学3年生のか題は、漢字が多くなりました。毎月、作品を書いて日本に送っています。作品を書いている時の事を短歌にしました。
★俳句
【優秀】 友達と 麦茶を飲んで 仲直り
小6 蜷川 裕仁
夏の暑い日に僕は友達とけんかをしました。仲直りしたい気持ちはあったが、どうすれば良いかわかりませんでした。そのまま日々が過ぎました。ある日、いつものように、学校に麦茶を持っていき、昼食の時間に飲んでいると、ふと友達とけんかしたことを思い出しました。そこで友達と一緒に飲もうと思って、少しわけてあげました。すると「どこで麦茶を買ったのか?」などの話になり、仲直りすることができたので、この時のすっきりしてうれしくなった感じを俳句としてかくことにしました。
【佳作】 手のひらで 雪のけっしょう とけちゃった
小3 林 泰平
カナダは、たくさん雪がふります。たくさん雪がふるほど、いっぱい遊べます。そりすべりや雪がっせん。雪だるまを作って遊びます。たまに雪のけっしょうが見ることができます。すごくきれいです。
【佳作】 いつまでも 話がはずむ 卒業旅行
小5 小金丸 絵里
カナダの学校は、日本とちがって、9月に始まって、6月に終わります。そして、私の住んでいる地いきでは、5年生で小学校を卒業します。皆で行った最後の卒業旅行がとても楽しくて、その時の気持ちを俳句にしました。日本の皆さんの卒業は6年生ですね。卒業旅行をめいっぱい楽しんで、思い出をたくさん作ってください。
【優秀】 動物の 足跡たくさん 雪の上
小5 河野 空
【佳作】 だれがきた 足あとはっけん 雪のにわ
小2 山口 結衣
カナダに引っこしてきてすぐに、にわにつもった雪の上に、いろいろな形の足あとを見つけました。とてもさむいのに動物がいることにびっくりしたし、何がいるのかとてもわくわくしたので、はいくに書きました。
【佳作】 あさおきて 雪いっぱいの つう学ろ
小2 平間 倫
まどから雪でまっ白になった家や道を見ていると、なんだかウキウキしてきたので、そのときのことを書きました。
【佳作】 見上げれば お天気雨の 空に虹
小4 伊藤 優衣子
ある春の日、現地校からの帰り道に、空は晴れて太陽が出ているのに、突然雨がふり出しました。不思議に思って、母と一緒に空を見上げたら、きれいな七色の虹がカナダの大きな青空に出ていました。お天気雨の時、虹に出会えるのは、太陽の光が小さな水てきによって反しゃするためだそうです。いつもの学校からの帰り道が、急に楽しく思えて心がウキウキしました。
【佳作】 あめのなか あじさいにっこり わらってる
小1 杉光 智恵
わたしのいえのまえに、あじさいがあります。まい日見るあじさいは、はれている日より、雨の日のほうが元気そうに見えます。それをはいくにしました。
【優秀】 ゆきとけて やっとまけるぞ はなのたね
小1 竹内 翔悟
【優秀】 あつくなり こうえんの木も さわぎだす
小1 小原 海音
夏がきて、こうえんであそべるうれしさを、木もよろこんでいるみたいだったので、はいくに書きました。
トロント補習授業校(カナダ)
トロント市は、五大湖の一つオンタリオ湖北岸の位置し、郊外まで含めると人口は約590万人というカナダ最大の都市です。世界中から移住者が集まり多文化モザイク都市と言われています。世界各国の衣装・料理・豊富な食材に出会うことができ、街を歩くと様々な言語が聞こえてきます。
<冬の寒さは厳しく、マイナス20度以下の日もありますが、室内は暖房設備が整っていて快適に過ごすことができます。夏になると各地でいろいろな民族のフェスティバルが開催されて賑やかです。秋にはメープルが色づき、豊かな自然の恵みが感じられます。安全であり美しい街並みの都市です。世界の住みたい都市の上位に毎年入っています。
学校は1973年にトロント日本商工会によって設立されました。今年は創立42年で、現在は幼稚部・小学部・中学部・高等部合わせて574名の児童生徒が学んでいます。子どもたちは、平日は現地の学校で学んでいますが、土曜日には本校で日本の教科書を使って学習します。日本人の友達と交流できるので、子どもたちにとって大切なオアシスとなっています。
年間の行事等には、運動会・音読大会・作文発表会・意見文発表会・げき発表会・図書の奨励・読み聞かせなどがあり、子どもたちの言語能力を総合的に伸ばすように工夫されています。
借用校は、ダウンタウンの北西のセントクレア通りのそばのパブリックスクールを30年にわたって借りています。図書室には約1万5千冊の蔵書があり、児童生徒に活用されているのは、本校の自慢の一つです。