タナカ校長の徒然日誌[1]呼び方変えたら優しくなった

[1]呼び方変えたら優しくなった

 

 男女問わず「君(くん)」付けで名前を呼ぶのが慣例の国会で、衆院予算委員会初の女性委員長、野田聖子氏が、発言者を「さん」付けで指名し、注目を集めている。

 私が校長を務める小学校でも、学校内での呼称について考えたことがあった。その結果、今はほとんどのケースで「さん」づけで呼び合っている。

 教師が子どもたちを呼ぶ時はもちろん、子どもたち同士も同様だ。ただ、子どもたちは教師を「さん」とは呼びにくいのか、「○○先生」のままだ。

 「さん」で呼び合うことにした理由は、性差だけで男子を「くん」、女子を「さん」と呼ぶことへの違和感、教師によって、苗字、名前、あだ名など呼び方が異なることで、子どもによっては差別感や圧迫感を抱くかもしれないことなどの問題点が浮かび上がったからである。

 どの小学校でも、昔から男子児童同士は苗字の呼び捨て、あだ名など何でもありだった。だが、「さん」にしようと呼びかけてからは、男子たちもおおむねそう呼び合っている。

 「さん」づけにしたことで、なんとなく優しい雰囲気が漂い、校内も穏やかになったような気がする。きっと、国会の野次も上品になるのではと期待したい。

 

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田中孝宏 小学校長

1960年千葉県船橋市生まれ。83年4月、小学校教諭に。2011年から現職。「ブラタモリ」にならって「ぶらタナカ」を続けている。職場の仲間や友人を誘って東京近郊の歴史ある地域を歩く。「人々はなぜ、この場所に住むようになったのだろう」と考えると、興味は尽きない。

 

(2018年12月13日 12:40)
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