[7]スマホを捨てよ...
久しぶりにデジタルカメラを持って出かけた。ここのところスマホの写真機能ばかりですましていたからだ。いざ構えて、ズームアップしようとした時、思わず画面に指を当てている自分に気づき苦笑いだ。 思えば、スマホや携帯電話を持ったことで、様々な生活習慣が変わってしまった。わからないことはすぐに検索サイトで調べれば、目的地までの交通手段から地図までわかるので道に迷うことも少なくなった。 街を歩くと多くの人が、画面を見ながら行動している。中村文則氏の小説「R帝国」では国民がすべてHPという端末を持って統制される姿が描かれているが、人間が機械に頼りながら生きている姿は、何か危ないものを感じてしまう。 たまには、待ちぼうけをくいながらいつまでも人を待ったり、自分の今いるところがわからなくて途方に暮れるぐらい道に迷ったりすることも大切なのではないか。 昭和の時代に「書を捨てよ街に出よ」というコピーがあった。さしずめ、令和の時代は「スマホを捨てよ街に出よう」であろうか。無理だろうな。 |
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田中孝宏 小学校長
1960年千葉県船橋市生まれ。83年4月、小学校教諭に。2011年から現職。「ブラタモリ」にならって「ぶらタナカ」を続けている。職場の仲間や友人を誘って東京近郊の歴史ある地域を歩く。「人々はなぜ、この場所に住むようになったのだろう」と考えると、興味は尽きない。