成人式までオンライン【新型コロナ 学生リポート】(26)

本番6日前まで開催予定だった成人式の案内状

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。年明け早々には1都3県に緊急事態宣言が出されることになりました。人生の一大イベントともいえる成人式も、多くの自治体で中止・延期されてしまいした。間もなく1年が経とうとしているコロナ禍は、大学生活だけでなく、私たちの人生に計り知れないダメージを与えています。(淑徳大学・浅井しおり)

 

「せめて気分だけでも...」

 

 「会場開催は実施せず、オンラインへと変更しました」。緊急事態宣言の発令が確実となった1月5日、私が参加する予定だったさいたま市の成人式のオンライン開催がホームページで発表されました。さいたまスーパーアリーナと言えば、ライブコンサートなどでも良く使用される全国的にも有名なイベント会場。先輩からも、「照明をフル活用していたライブみたい!」と聞いていたこともあり、とても楽しみにしていたのですが、幻となってしまいました。 

 賛否両論はあるかもしれませんが、成人式は女子にとっては一大イベントと言えます。オンライン開催になってしまったことで、振り袖のレンタルや美容院、ネイルサロンの予約などをどうするのか、「苦渋の決断」を迫られました。友人とは「振り袖で一緒に写真をとろう」と連絡を取り合いましたが、それぞれが利用している業者の方々も対応に追われていました。キャンセル対応も、全額返金だったり、一部のみになってしまったりと様々。「振り袖はキャンセル」という友人もいたため、少人数で集まろうとしても、かえって予定が合わせづらくなってしまいました。

 「せめて気分だけでも」と、成人式の会場がある「さいたま新都心」や、「映え」スポットになる「氷川神社」に集まる人が多かったようです。振り袖をキャンセルしても、写真撮影にだけ付き合ってくれる友人もいました。私自身も、親しい友人と飲食抜きでの再会を楽しみました。

 

緊急事態宣言の影響で遊びの約束を延期した際のLINE

 

大人になった「ミレニアムベイビー」

 

 2020年12月に20歳になった私は、「ハタチへの道」と題して、「大人になるとは」をテーマに約1か月間、キャンパススコープのTwitterで毎日投稿をしました。本を読む、地域を知る、親のありがたさを知る...。どれも小さいことかもしれませんが、今思い返せばとても大切なことだと感じています。成人式だけでなく、コロナ禍の様々な問題では、誰を責めることもできず、ただただ喪失感だけが重なっていきます。来年成人式を控えるメンバーは、「オンライン授業の毎日で、成人式もなかったら、20歳になれないような気がする。簡単に、中止やオンライン開催という前例を作ってしまうことが怖い」と話します。私達の世代は「ミレニアムベイビー」と言われ、生まれたころには「20世紀と21世紀をまたぐ世代」として、大きな期待を受けたと親から聞きました。「新しい日常」の中で成人の日を迎えた124万人の仲間たち。感じていること・考えていることを、ほかの世代に役立てられるような大人になっていきたいと思っています。

 

「気分だけでも」と神社で友人と写真を撮り合った

 


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(2021年1月12日 16:05)
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