38.万博への思い
実践女子大学2年 遠藤花連
15年前、愛知万博(「愛・地球博」)が開かれたとき、名古屋に住んでいた私は、祖父母や両親に連れられ、何度も万博の会場を訪れた記憶がある。
広大な敷地に参加国や企業のパビリオンがひしめき、異国情緒あふれる空間に興奮したものだ。
私は、世界各国のあいさつが一覧になった辞典を持って、会場内を走り回った。
「グーテンダーク!」
ドイツ館のお姉さんにそう言うと、彼女は驚いたような顔をした後、にっこりと笑いかけ、投げると空中で形が変わるボールを私にくれた。
また、シベリアで発掘された冷凍マンモスの展示を見たときは、その迫力に圧倒された。
さらに、トルコのアイス「ドンドルマ」は、職人たちが容器に長い棒を入れて、アイスクリームをビヨーンと伸ばすパフォーマンスが面白く、家族に毎回、ねだって買ってもらっていた。
万博が閉幕したときは、涙が出るほど悲しかった。それくらい私は会場に通った。母は、1970年開催の大阪万博の思い出が忘れられず、私にも同じ経験をしてほしかったという。
先日、たんすの奥から当時の土産品が出てきた。一つ一つの思い出が、私の中で駆け巡り、懐かしくてたまらなくなった。
2025年には、大阪で再び万博が開かれる。そのとき、私は社会人になっているはずだ。愛知万博と同じような感動をまた味わえるだろうか。5年後の未来に思いをはせている。
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