4.ロマンチックな恋愛
東洋大学1年 日栄奈夏(ななつ)
私の両親は、1000キロの遠距離恋愛の末、結婚した。このため交際中は文通をしていたという。
先日、父が少し照れながら教えてくれた。それを聞いた私は、ロマンチックだなと思った。
インターネットが普及した今は、1000キロ離れた相手の顔をスマホの画面で見ながら、会話も楽しめる。私がつきあっている彼の顔も、SNSで更新された画像で毎日のように見ることができる。
でも、そのせいか、彼とは、いつも会っているような錯覚に陥る。デートで直接会うことがあっても、「うれしさ半減」なのが正直な気持ちだ。
彼のことを好きでない、とかそういうことではない。電話や手紙でやりとりしたり、めったに撮らない写真を見たりするしかなかった数十年前のほうが、相手と一緒に過ごす時間を大切にしていたのではないか。電話で声を聞くにはお金がかかるので、長時間の会話は不可能だったろう。なんてロマンチック!
デジタル化が進んだ令和の時代に、手紙のやり取りをしている恋人たちはごく少数だろう。でも手書きのメッセージはあたたかい。
マンネリ化したカップルは昭和に逆戻りするのもいい刺激になるかもしれない。そこで、私も実際に手紙を書いてみた。
ふだん思っていることを文字にするのは恥ずかしかったが、手紙を受け取った彼はもっと恥ずかしそうに、そして、ちょっとうれしそうに、顔を赤らめながらポケットに手紙をしまった。
やっぱり手紙はあたたかい。
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