40.初めての一人暮らし
昭和女子大学2年 米倉佳奈美
東京で一人暮らしを始めて1年半が過ぎた。
私は九州の出身で、母子家庭に育ったが、「東京の大学に進学したい」と母にお願いし、許してもらった。
東京には、大学の学生寮もあったが、何事も他人に頼ってしまう自分を変えたいと、アパートでの一人暮らしを選んだ。
中学、高校時代、私の生活は部活漬けだった。そのため、身の回りのことはすべて母がやってくれていた。母のおかげで、陸上の走り高跳びで、全国大会出場という目標をかなえることができた。
そんな生活から離れた初めての一人暮らし。ゴミ捨てや買い物など、その日にやるべきことをスマホにメモするが、うまく時間が使えない。掃除をしなければ部屋は汚くなる。役所に出す書類の提出方法がわからず、期限ぎりぎりになったこともある。大学の授業と飲食店のアルバイトを終えて帰宅すると、翌日の講義の課題にも追われる。
想像していた一人暮らしとは違い、自分がどれだけ他人に助けられて生きていたのかを改めて感じた。
地元の大学に進学して、実家暮らしをしたほうがよかったかと考えることもある。だが、東京での一人暮らしは自分で決めて母にお願いしたことだ。一度決めたことは最後までやり遂げるべきだと思う。
今までは困ったら母が助けてくれた。だから次は自分が母に恩返しをする番だ。一人暮らしで培ったことを生かして、母が、私のために使っていた分、自由な時間を作ってあげたい。それができるまで待っていてください。
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