MyScope 41.「チョコレートの人」

自宅に常備するチョコレートと、検定合格の認定証


41.「チョコレートの人」


法政大学1年 芹澤琴音

 「検定に受かって、チョコ1年分を手に入れる!」
 今年6月、私は大学の同級生らにそう宣言した。
 検定とは、製菓会社が毎年秋に実施する「チョコレート検定」のことだ。チョコの様々な知識を問うテストで、マークシート式の初級と中級、テイスティング試験を伴う上級(今年は中止)に分かれる。初級と中級は正答率7割以上、上級は正答率8割以上が合格ラインだ。
 さらに、各レベルで上位5位以内に入ると、チョコ1年分(360個)が送られてくるという。
 チョコレート好きの私は、今年に入ってこの検定の存在を知り、「公式テキスト」まで購入して準備を始めた。だが、大学の期末試験が迫るにつれ、「検定は来年でいいか」と弱気になってきた。
 昨年、英検準1級に挑もうとして、途中で気が緩み、挫折した経験がある。そこで「自分を追い込む」ために冒頭の宣言をしたわけである。
 オンライン授業が続き、互いの顔も覚えにくい中、私はクラス内で注目された。「チョコレートの人」と呼ぶ同級生もいた。期末試験を乗り越え、夏休みは毎日、チョコ検定のテキストと向かい合った。
 先日、検定の結果が届いた。初級は94点、中級は80点。合格点には達したが、チョコ1年分は逃した。同級生らに報告すると、「いいね」「おめでとう」などの反応が返ってきた。
 恥ずかしさと悔しさは残ったが、目標達成の「宣言」にはそれなりの効果があった。人目を引くのが苦手な性格が、少し変わった気もした。



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(2020年12月 4日 11:00)
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