45. 雑談の場
流通経済大学3年 石井美帆
「俺、恋をしてみたい。でも、相手がいないんだ」と先輩の男性。
「出会いを増やし、様々な人と関われば、そのうち見つかりますよ」と私。
仲の良い10人ほどの学生同士で、授業の合間や放課後に雑談をするのが好きだ。場所は大学内のフリースペース。2年前の秋、地域のハロウィンイベントを企画したメンバーを中心に、毎日のように集まるようになった。
いつも同じ顔ぶれが、同じ机、同じ椅子で、ゲームや音楽、履修科目などについて、たわいもない話をする。長いときは2時間ぐらい語り合う。
だが昨年、新型コロナウイルスの影響で、大学の授業はオンラインになり、フリースペースは使えなくなった。いつでも会えると思っていた仲間たちとは、自然に集まって話すのが良かったので、私はメールや無料通信アプリで連絡をとろうとは思わなかった。私に連絡をしてくる人もいなかった。
1年がたち、この春、大学の対面授業が一時的に再開された。私は初日にフリースペースに向かった。テーブルや椅子の配置は変わっていたが、約束もしていないのに仲間たちが次々と現れた。ほぼ全員と再会でき、互いの近況を話したあと、雑談が再び始まった。
「SNSに学校のカフェで食べたパンの写真を投稿したよ」と私が話すと、「いつも読んでいるよ」と言われた。メールやアプリでなく、目の前で会話できるのがうれしかった。
その後は、なかなか集まれない状況が続いている。気兼ねなく雑談できる日が早く戻ってほしい。
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