MyScope 49. 「伝えたい」気持ちがあれば

海外での様々な出会いを想うと、夢が広がる。


49. 「伝えたい」気持ちがあれば


千葉商科大学2年 小倉実咲

 「How was your weekend?」

 私の大学では、海外の学生とオンラインツールを使って交流するプログラムがある。11月に始まったこのプログラムでは、2人でペアを作りお互いの言語や文化を教え合う。私がペアを組んだのは、日本語を勉強しているタイの学生だ。週に1回、1時間授業以外の時間にオンライン上で集まり、日本語と英語を交えて何気ない会話をする。

 

 留学を控えている私は、スピーキング力を向上させたいと思い、このプログラムに参加した。しかしいざ始まってみると、英語が全く口から出てこない。パソコンの画面を見つめながら、出てくるのは「えーっと」「うーんと」といううなり声ばかり。「How...do you...spend Christmas?」ようやく絞り出した言葉は、自信のなさも相まって、か細く、彼女には聞こえなかったらしい。結局、私からは何も伝えることができなかった。

 

 「How about you?」そんな中、彼女は、日本とタイの大学の違いやイベント、共通の趣味であるアニメの話など率先して話題を振ってくれた。彼女の笑顔を見ているうちに、緊張がほぐれていくのを感じた。彼女は私の、知っている単語をただ繋げただけのような拙い英語にも耳を傾け、「makeを使うといいよ」など正しい文法に直してくれた。そんな彼女に背中を押され、私も大学でのエピソードを積極的に話せるようになった。

 

 週を追うごとに、自分の英語力が上達していくのを感じた。英語力が飛躍的に伸びた、ということではなく、英語を話すときの気持ちが変わったのだ。今までは、「伝わらないのではないか」と怯えながらだったせいか、ありのままの自分を出すことができなかった。しかし彼女との会話を心から楽しめるようになると、自分や日本について「知ってもらいたい」と思う気持ちが強くなっていくのを感じた。英語のレベルなんて関係ない。知っている英単語をつなぎ合わせるだけでもいい。私はどんどん「英語」で話せるようになっていったのだ。 

 

 「コミュニケーション力」という言葉を耳にすることは多い。「言語の能力とは異なる」という話もよく聞く。「伝えたい」という気持ちこそが、コミュニケーション力を高めてくれたのだろう。 

 

 Find purpose, the means will follow.(目的を見つけよ、手段は後からついてくる)。インド独立の指導者、マハトマ・ガンジーの言葉だ。異国での様々な経験が、今から楽しみだ。

 



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(2022年1月 6日 15:00)
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