50. 「うっかり」でも「しっかり」
東洋大学2年 福島彩加
「今日どうなさいましたか?
わたし、連絡を見落としたかしら?
具合が悪くて連絡できないこともあるかと思います。
無理しなくていいです。またね。」
夏休み前の課題の締め切りに追われていた2021年7月中旬のこと。課題も一区切りつき布団でゴロゴロしていた私は、16時半ごろ、教授からのメッセージに血の気が引いた。大学の授業補助を行うSA(Student Assistant)のアルバイトをすっぽかしてしまっていたのだ。
SAは教授の授業補佐を行う仕事で、生徒の出席確認や質疑応答などを行う。私は週に一度の勤務をしていた。オンライン授業で学生からの質問に答えて一緒に問題を解決したり、教授に出席確認の報告を行ったり、充実した日々を送っていた。
始めたきっかけは1年生の「ウェブ情報処理」の授業だった。家で一人ぼっち、オンライン授業を受ける日々。わからないことがあっても自分で調べて解決するしかない状況が続いていた。授業では、htmlやcss、JavaScriptなどの基本的な内容を学ぶ。初めて聞くことばかりだった私は、わからないことがあるたびにネットなどで調べまくって自力で解決していた。なんとか全ての課題を乗り越えられたのはもちろん、他の学生が困っていたら「こうしたらできましたよ!」というアドバイスを出せることもあった。その様子を見ていた教授がスカウトしてくれたのだ。自分の頑張りが認められたように感じた私は、やる気満々だった。
そんな最中の大失敗。私はすぐにメッセージを送った。「完全に仕事の存在を忘れておりました。お金をいただいている身で、やってはいけないことをやってしまったと猛烈に反省しております」。恥ずかしさと情けなさで、画面がにじんで見えた。 20分後。そんな私に、教授は、「ハハハ、コロナになって苦しんでるのじゃなくて本当に良かった。しっかりしたあなたにもそんなウッカリな面があるなんて。気にしなくていいです。課題頑張って」と返事をくれた。当然怒られると思っていた私は、寛大な言葉に驚くとともに、同じ過ちを繰り返さないと心に決めた。スケジュール管理は基本中の基本。でも、自分にはその基本すらできていなかったのだと反省した。
2021年の年末、そんな反省を生かす機会があった。私がアルバイトしているファーストフード店で、「商品の入れ忘れ」というミスが起きてしまった。繁忙期とはいえ、許されることではない。チームで話し合って「確認を徹底しよう」と対策をとった結果、商品をつめるスピードは落ちたが、ミスの再発を防ぐことができた。
「スケジュール管理」と「丁寧な確認作業」。どちらも基本的なこと。だが、忙しかったりやることが多かったりすると視野が狭くなり、基本が疎かになってしまうことがある。基本が疎かになると必ずミスが起きる。どんな時でも基本を忘れず、きちんとこなすことが大切なのだと学んだ。
まだ私は大学2年生。この先もたくさん失敗し、怒られるだろう。でも、全力でやることをやり続けていこうと思う。そうすれば、後から振り返ったとき、必ず結果は変わってくるのではないかと思うのだ。
49<< | >>51 |