高校生が見た被災地のいま(5)むき出しの赤い鉄骨にぼう然 宮城県南三陸町

 2015年夏に実施された海外プロジェクト探検隊(読売新聞社主催、三菱商事特別協賛)初の国内ツアー。東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城、岩手両県の被災地を探検隊メンバーとなった6人の高校生が巡った3日間をリポートする。

【関連記事】小泉進次郎衆院議員と被災地復興で意見交換>>


<<(4)を読む

 

津波で鉄骨だけの姿になった南三陸町の防災対策庁舎

むき出しの赤い鉄骨にぼう然 宮城県南三陸町

2015年8月1日

 

 南三陸町では防災対策庁舎にも足を運んだ。町職員ら43人が津波の犠牲になった場所。壁も窓も引きむしられて、赤い鉄骨構造だけになった庁舎の姿に背筋が凍った。

 

 当時、防災無線で津波の襲来と避難を住民に呼びかけ続けた20代の女性職員がいたことを知った。最後の最後までアナウンスを続け、津波に呑まれてしまった。半年後には結婚式の予定だったという。探検隊メンバー一同は庁舎前の祭壇で、亡くなった方々の冥福を祈り、手を合わせた。防災対策庁舎は東日本大震災を象徴する場所の一つでもある。震災遺構として最低20年、保存されることが決まっている。

 

防災対策庁舎前で手を合わせる探検隊メンバーら

 佐藤千夏(宮城県気仙沼高校2年)は「東日本大震災で津波の恐ろしさを理解しても、自分の居住地域の海抜すら知らない人が結構多いのではないか。震災後、被災地住民の防災意識は高まったが、被災地だけでは意味がない。全国に啓蒙していく必要性を改めて感じた」と話した。

 「被災者の恐怖と悲しみを実感できた。ここに来たことのない人たちに、それを伝える使命を背負わされたと感じている」。田辺雄斗(桐蔭学園中等教育学校5年)は現場に足を運ぶことの大切さを思い知らされた。

(敬称略)


(6)を読む>>

第12回海外プロジェクト探検隊参加者

渡辺啓介君(都立日比谷高校2年)

田辺雄斗君(桐蔭学園中等教育学校5年)

太田直希君(宮城県仙台第二高校2年)

酒井恵理香さん(渋谷教育学園渋谷高校2年)

佐藤千夏さん(宮城県気仙沼高校2年)

川内彩可さん(都立戸山高校2年)

(2016年2月 3日 11:34)
TOP