高校生が見た被災地のいま(6)地元のまつりに感激 宮城県気仙沼市

 2015年夏に実施された海外プロジェクト探検隊(読売新聞社主催、三菱商事特別協賛)初の国内ツアー。東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城、岩手両県の被災地を探検隊メンバーとなった6人の高校生が巡った3日間をリポートする。

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はまらいんや踊りの隊列に加わる探検隊メンバー

地元のまつりに感激 宮城県気仙沼市

2015年8月1日

 

 この日夕方、気仙沼市の「気仙沼みなとまつり」に参加した。東日本大震災が発生した2011年には中止となったが、これまで毎夏開催され、今回第64回を数える地元の人たちに大切にされてきた祭りだ。踊り、パレード、灯籠流し、花火で2日間、盛り上がる。今年は8月1、2日の両日で7万2000人の観客を集めた。

 

 参加者がそれぞれ趣向を凝らした衣装で練り歩く「はまらいんや踊り」で、地元の気仙沼信用金庫の隊列に加えてもらった。「はまらいんや」は「一緒に参加しませんか」を意味する地元言葉。地元の人は見るよりは参加するのだろう。見物客よりも踊っている人が圧倒的に多い。

 佐藤千夏(宮城県気仙沼高校2年)以外には初めての祭り。最初はうまく踊れなかったが、ぎこちなさはすぐに消えた。日中、被災現場を訪れ、重苦しくなっていた気持ちが癒された。地元の人たちに溶け込み、日が落ちる頃には笑顔で練り歩いた。

 

気仙沼信金の菅原理事長(右)を取材

 「気仙沼みなとまつり」参加に先立ち、探検隊メンバーは気仙沼信金理事長の菅原務を取材した。菅原は「震災で悲しんでばかりいられない。前に進むためにはネガティブではだめ。ポジティブにならないとね」と、地元経済に新たな活力を注ぎ込む決意を話してくれた。あの津波で自身の自宅もそっくり流されてしまったというのに、さらりと言ってのけた気丈さに驚かされた。でも、地域の人みんながいま、同じ気持ちでこの祭りに参加しているのかもしれない。

 酒井恵理香(渋谷教育学園渋谷高校2年)は興奮気味だった。「地元の人たちの地域を愛する気持ちを感じた。こんなにすごい祭りがあるなんて感激。東京でもみんなで参加できる地域の祭りができたらいいのに」。

(敬称略)


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第12回海外プロジェクト探検隊参加者

渡辺啓介君(都立日比谷高校2年)

田辺雄斗君(桐蔭学園中等教育学校5年)

太田直希君(宮城県仙台第二高校2年)

酒井恵理香さん(渋谷教育学園渋谷高校2年)

佐藤千夏さん(宮城県気仙沼高校2年)

川内彩可さん(都立戸山高校2年)

(2016年2月 3日 11:41)
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