[17]いかに優れた道具でも...
世界陸連が、規制すべきかの議論を重ねていた「厚底シューズ」が条件付きで容認された。使用していた選手もひと安心であろう。マラソンコースの変更もあり、この時期に様々なことが突発的に変わるのは困ったことだ。同じようなことが、これ以上起こらないでほしい。 確かにスポーツの進歩は道具の進化と共にある。ちなみにわたしは、お神輿(みこし)を担ぐのが好きで、年に何度か担いでいる。お神輿の地下足袋も厚底のものがある。仲間うちでは「エアー」と呼ばれていて、実に担ぎやすい。お神輿を担ぐことがスポーツであるかは別として、道具は人の助けになる。 そういえば地下足袋。わたしの小学校時代、運動会のかけっこやリレーで速い選手は、地下足袋を使っていた。わたしも道具に頼り地下足袋を親にねだったことがあった。 当時は、騎馬戦・組体操と、なにかと裸足の競技が多かった記憶がある。かけっこも裸足で走っていた子もいた。そんな中、地下足袋は新兵器であった。地面に対する足の感触は裸足と同じであり、かつ底にはゴムの滑り止めがついている。そのため地面に自分の足の力を直接伝え、蹴ることができた。 その地下足袋を使った結果はよく覚えていないが、実力相応のものであった。やはり、いかに優れた道具といえども、それを使う人間の実力次第ということだ。 |
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田中孝宏 小学校長
1960年千葉県船橋市生まれ。83年4月、小学校教諭に。2011年から現職。「ブラタモリ」にならって「ぶらタナカ」を続けている。職場の仲間や友人を誘って東京近郊の歴史ある地域を歩く。「人々はなぜ、この場所に住むようになったのだろう」と考えると、興味は尽きない。