タナカ校長の徒然日誌[18]AI時代に必要な人間は?

[18]AI時代に必要な人間は?

 

 昔の生活を子供たちに学んでもらおうと、各地域には昔の道具を展示している施設がある。洗濯板や氷を入れて冷やす冷蔵庫などがおかれている。ところによっては、昔の住宅を再現して、当時の様子が伝わるように展示されている。大人にとっては懐かしさに浸れる。

 考えてみれば、洗濯をするためにはまず水を得ることから始めなければならない。水場に行くか、井戸などから汲む(く)むか。その上、手でもみ洗いして、洗濯板などで汚れを落とし、水気を切るために搾る。たいへんな労働である。

 その労働を改善するため、人間は技術を用いるようになった。様々なものが機械化され便利になった。洗濯機などはその典型であろう。炊飯器、食器乾燥機と家電製品は豊富だ。

 「はんこロボット」ができたそうだ。決裁が必要な書類に自動ではんこを押してくれるロボットだ。確かに機械化されれば、労力の軽減になることは前述の通りである。しかし、本当にそれが必要なものかどうかをよく考えなければならないだろう。

 技術の進展が何でもかんでも役に立つかと言えば、そうではない。その技術をどう役立てるかを見極める人間が育たなければならない。人文的な考えを持ちながら理系的技術を駆使できるような人間がこれからのAI時代に必要なのだろうなと「はんこロボット」の写真を見ながら思った。

 さて、このロボット、どう使おうか考えてみたい。

 

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田中孝宏 小学校長

1960年千葉県船橋市生まれ。83年4月、小学校教諭に。2011年から現職。「ブラタモリ」にならって「ぶらタナカ」を続けている。職場の仲間や友人を誘って東京近郊の歴史ある地域を歩く。「人々はなぜ、この場所に住むようになったのだろう」と考えると、興味は尽きない。

 

(2020年3月31日 13:30)
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