田中センセイの徒然日誌[19]身近なものに例えれば...

[19]身近なものに例えれば...

 

 相対性理論。聞いたことはあるけれど、その内容は難しくてよくわからない。その相対性理論を検証する実験が行われたというニュースを見つけた。

 東京スカイツリーの1階と展望台の2か所に「光格子時計」(100億年に1秒しかずれない時計)を置いて比べた。結果、展望台では時間が地表よりも1日に約4・26ナノ秒速く進んだ。これは、「重力の違いで時間の進み方が変わるという」一般相対性理論に書かれていることだそうだ。

 なるほど、高さの違うところにおいた時計は進み方が違う。このニュースに接して、少し相対性理論がわかった気になった。

 難しくてわからないことも、身近な実験や例えによって少しはわかる糸口を見つけることができる。

 東京スカイツリーの例えは、ちょっぴり自尊心をくすぐり、主体的に知ろうとする行動意欲を起こす。

 教員時代、子供たちが主体的に学ぶように学習内容をどう伝えたら良いか、日々悩んだことを思い出す。他人に物事を伝えるには、相手の身近な事柄に例えるなどの工夫が必要だ。

 世の中の難しく複雑な出来事も、私たちの身近な事柄に例えて伝えてほしいものだ。そうすれば、もっと人々は自分事として主体的に行動する。ウイルスしかりであろう。

 

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田中孝宏 読売新聞教育ネットワーク・アドバイザー

1960年千葉県船橋市生まれ。元小学校長。「ブラタモリ」にならって「ぶらタナカ」を続けている。職場の仲間や友人を誘って東京近郊の歴史ある地域を歩く。「人々はなぜ、この場所に住むようになったのだろう」と考えると、興味は尽きない。

 

(2020年4月15日 13:50)
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