田中センセイの徒然日誌[21]互いを思えばこそ

[21]互いを思えばこそ

 

 昔、テレビドラマで金八先生が「人という漢字は人と人が支えあって出来ている」と言っていた。

 コロナ禍の中、人はソーシャルディスタンス(間)をとりなさいと言われ、字のように密に支えあうことができない。つらいものだ。

 空間、時間、隙間。間にはいろいろある。空間をとることで、人は一定の距離を保ち互いを守りあうことができる。

 時間をとることで、たかぶった感情を抑え、落ち着いて考えることができる。そして、隙間。都市社会学者の磯村英一氏が「第三の空間論」で一が家庭、二が仕事場、三に盛り場と人には大事な場所のほかに隙間となる場が必要であると書かれている。隙間のおかげで、自分の心をリフレッシュできるということだろう。

 新しい生活様式の中、間をとることは今後続くだろう。

 でもきっと、「人は互いを思い支えあうためにこそ間をとっている。それこそが人間である」。金八先生ならそういうに違いない。

 

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田中孝宏 読売新聞教育ネットワーク・アドバイザー

1960年千葉県船橋市生まれ。元小学校長。「ブラタモリ」にならって「ぶらタナカ」を続けている。職場の仲間や友人を誘って東京近郊の歴史ある地域を歩く。「人々はなぜ、この場所に住むようになったのだろう」と考えると、興味は尽きない。

 

(2020年6月 2日 16:32)
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