田中センセイの徒然日誌[32]新しい生活様式って...

[32]新しい生活様式って...

 

 コロナ禍でテイクアウトの需要が高まったことがプラスチックごみの増加につながらないようにと、皿や鍋を持参して飲食店に買い物に行く動きがみられるという。

 

 近くのお蕎麦屋さんのうどんがおいしいと言って、母が鍋を持ってうどんを買いに行ってくれたことがあった。あるいは、豆腐屋さんがラッパを吹きながら売りに来ると、近くの家から人々が入れ物を持って買いに出る光景など、少し前の日本では、入れ物を持って買い物に行くのは珍しいことではなかった。

 

 コロナ禍のいま、「新しい生活様式」という言葉が言われているが、その中にはこのように少し前まであたりまえのように行っていたこともある。

 

 幼稚園や学校で、手洗い・うがいをしっかり行うこと。咳やくしゃみは、他人に向かってしないなど。それから、夜遅くまで遊んでいないで早く帰りなさいと、習いませんでしたか。考えてみると、コロナ禍は今までのわたしたちの生活の中で何が大切だったかを改めて教えてくれている。

 

 「古くて新しい生活様式」。探せばもっとあるかもしれない。そういえば、社会のIT基盤も35人学級も昔から言われていたものだ。そうなると「新しい生活様式」って何だろうと考えてしまう。

 

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田中孝宏 読売新聞教育ネットワーク・アドバイザー

1960年千葉県船橋市生まれ。元小学校長。「ブラタモリ」にならって「ぶらタナカ」を続けている。職場の仲間や友人を誘って東京近郊の歴史ある地域を歩く。「人々はなぜ、この場所に住むようになったのだろう」と考えると、興味は尽きない。

 

(2021年4月 5日 12:32)
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