[39]コロナ世代は、どんな主義?
Z世代という言葉を初めて耳にしたのは、テレビでお笑い番組を観ていた時です。どういう意味かわからず、ネットの検索に頼ると、「1996年以降に生まれ、生まれた時からIT製品に囲まれて育った世代」とありました。○○世代で、私の中でメジャーなのは、「団塊世代」「バブル世代」などです。
わたしが教えた子どもたちの中心は「ゆとり世代」です。総合的な学習が始まり、週休2日制が取り入れられ始めた時代です。低学年の社会科・理科がなくなり、生活科も始まりました。一から始まる新しい学習は、教師自身でカリキュラムを作るなど授業に創意工夫ができて、子供たちの興味・関心を広げ、意欲を高めることができたと振り返って思います。今思えば、SDGsの内容にも関連していました。
それぞれの時代の○○世代は、「~主義である」という風にひとくくりに特徴を説明されます。例えば、ゆとり世代は個人主義。わたしたちの年代はしらけ世代。三無主義(無責任・無関心・無感動)と言われていました。
最近、中国の若者世代が「寝そべり主義」と言われているという記事を読みました。激しい受験や就職競争を避け、最低限の生活を送ることを指す言葉だそうです。「~主義」という言葉は、その国の世情をよく伝えているものです。
日本では、ここ約2年間にわたるコロナ禍の中、若者たちは様々なことに制約を受けたり、苦しみを味わったりしています。この世代をわたしたちは「コロナ世代」と呼ぶことになるのでしょうか。はたして、この世代の主義は何になるのでしょう。ポジティブな名前がついてほしいですね。無理かな......
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田中孝宏 読売新聞教育ネットワーク・アドバイザー
1960年千葉県船橋市生まれ。元小学校長。「ブラタモリ」にならって「ぶらタナカ」を続けている。職場の仲間や友人を誘って東京近郊の歴史ある地域を歩く。「人々はなぜ、この場所に住むようになったのだろう」と考えると、興味は尽きない。