[40]ガチャあってこそ
今年の新語・流行語大賞トップ10の中に、「親ガチャ」という言葉が入りました。カプセル型の入れ物におもちゃなどが入っている自動販売機のことを「ガチャガチャ」と呼んでいます。何が入っているかは出てくるまでわからないところから、子供は親を選べないという意味でつくられた言葉です。
さしずめ、学校で言うと「教師ガチャ」とささやかれているようなものです。新学期の担任発表の時、子どもたちは、喜び、失望の反応があからさまです。顔や声に出さなくても、保護者の間からもささやきの声がもれてきます。
よく考えると、世の中どんな時も「ガチャ」となる時はあります。上司にせよ友達にせよ兄弟親戚など、人と人との出会いはすべて「人ガチャ」です。
でも、それがおもしろいのではないでしょうか。最初は話すのも嫌だった人と生涯の友達になった。こんな話は、ドラマの数より多い気がします。もちろんその逆もあるでしょうが、それも「人ガチャ」あってこそです。
「人は他の人を糧にして成長する」。そんな風に考えるが良いのかもしれません。
それにしても、わたしは、「教師ガチャ」のはずれだったのでしょうか。
教え子のみなさん保護者のみなさん、そう思っていたとしてももう「ガチャガチャ」言わず、そーっとしておいてくださいね。 |
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田中孝宏 読売新聞教育ネットワーク・アドバイザー
1960年千葉県船橋市生まれ。元小学校長。「ブラタモリ」にならって「ぶらタナカ」を続けている。職場の仲間や友人を誘って東京近郊の歴史ある地域を歩く。「人々はなぜ、この場所に住むようになったのだろう」と考えると、興味は尽きない。