[45]コロナの教訓
新聞やテレビで「コロナ」という言葉を見たり聞いたりしなくなるのはいつのことだろう。わたしたちは、ウイルスにどのように対処したらよいかをこの2年間、大きな代償を払いながら学んできた。この知見を未来に生かさなければと思う。
教育現場における言葉・態度・行動もウイルスのように感染するものだ。否定・乱暴・不誠実な言葉、不愛想・横暴な態度、人権侵害・暴力的な行動。子どもに対して発せられたものではなくても、いつの間にかうつしてしまう恐れがある。
どうしたら良いのだろう。コロナの教訓からまず感染ルートを断つことが第一であろう。 言葉・態度・行動ウイルスは空気、飛沫、接触の3つの感染ルートが考えられそうだ。 その人が持つ雰囲気や性格によってうつる空気感染の場合、なかなか改善が難しいが、せめて子どもに接する時は、自分の気持ちを抑えて人柄を繕うことも必要かもしれない。 会話や態度によってうつる飛沫感染の場合、一つ一つの言葉を吟味することや普段の何気ない態度を改善するためには常日頃からの習慣化を図るしかないのかも。 そして、体罰や暴力によってうつる接触感染。これは一番断つことが可能なルートだと思われるが、実際は感情が高まった時、意識的にひと呼吸置くことがどれだけできるか。
新型コロナウィルスはどんなに感染ルートを断とうとしても、いろいろなかたちでうつっていく。言葉・態度・行動ウイルスも完全に断つことはなかなか難しい。 ならば、ウイルスと共存する新しい教育様式を身につけていきたいものだ。
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田中孝宏 読売新聞教育ネットワーク・アドバイザー
1960年千葉県船橋市生まれ。元小学校長。「ブラタモリ」にならって「ぶらタナカ」を続けている。職場の仲間や友人を誘って東京近郊の歴史ある地域を歩く。「人々はなぜ、この場所に住むようになったのだろう」と考えると、興味は尽きない。