[50]かっこいい食べ方って?
紙やプラスチック製のコーヒーカップを持って歩く人をよく見るようになった。いつ頃からだろう。 外国のドラマなどでビジネスマンが持っているのを目にするので、その影響かもしれない。これもグローバル化のひとつなのだろうか。 一度もそんなことをしたことがない人はグローバル化の波に乗り遅れている? そういうわけでもないだろうと懸命に否定する。わたしのことだ。
国内主要カフェで提供された使い捨てカップの数が年間3億個以上になるとの推計があるというからびっくりだ(2022年7月30日読売新聞)。世界的に規制が広がりつつある一方、日本ではカップなど容器の使用や提供に制限はないという。記事では「使い捨てカップを使うことがかっこいいと考える利用者も多い」という専門家の話も紹介されていて、やっぱり外国の真似なんじゃないかと疑いがふくらむ。
そもそも、食べ歩きはいけませんと学校では教えている。 ファストフードがはやる中、そんな教えも無駄になるのかもしれないが、長い間、この国が守ってきた食事のルールは尊びたいものだ。「食べている時は、立ち歩かない」「食べ物を口に入れたままで話をしない」など最低限のラインは伝えていきたい。
食は文化だと思う。和食がユネスコ無形文化遺産になったのなら、食のルールも伝えるべきだ。日本の食べ方が「かっこいい」と、外国の人が真似するようになったらいいのにと思う。そのためには、私たちがしっかり日本の食のルールを身につけ実行し、子どもたちの手本となっていかなければならないだろう。 とはいえ、コロナ禍で学校の給食の時間は、楽しく会話をしながら食事することもできずに前を向いての黙食。寂しい限りだ。
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田中孝宏 読売新聞教育ネットワーク・アドバイザー
1960年千葉県船橋市生まれ。元小学校長。「ブラタモリ」にならって「ぶらタナカ」を続けている。職場の仲間や友人を誘って東京近郊の歴史ある地域を歩く。「人々はなぜ、この場所に住むようになったのだろう」と考えると、興味は尽きない。