田中センセイの徒然日誌[53]異次元のお話

[53]異次元のお話

 

 それでは、今日の算数は新しい勉強をします。みなさん、点と点を結ぶと何になりますか。そうです、直線になります。直線はどこまでもまっすぐ続いていきますね。この直線どうしが途中で交差すると面ができます。座標軸で示すと、直線は座標軸一本で表せるので1次元、面は2つの軸で表せるから2次元と言います。

 

 4年生の算数で今日初めて学ぶ立体は、たて、よこ、高さの3つの軸で表します。そこで、3次元であると言います。私たちの世界は、この3次元の世界で作られていることになりますね。

 

 SFやアニメの世界では、もうひとつ時間軸を加えた4次元の世界というのがよく描かれます。どんな世界かと言われても実際にその世界の中には生きられないので誰も知りません。物語などの想像の世界では、摩訶(まか)不思議、常識では考えられないことが起きるという設定が多いです。

 

 年が明けて、岸田首相が「異次元の少子化対策」を掲げた施政演説を行いました。

 

 子どもの人数が減ると学校も統廃合が進み、以前勤務していた学校が今はないという話はよく聞きます。中学校などでは、人数が集まらず部活が成立しないこともあるそうです。何より近所の公園や路地から子供たちの声が聞こえなくなったり、町の活気が失われたりしていることが不安です。まぁ、その活気が嫌いだと訴訟まで起こす世だからしかたないのかな。

 

 少子化になると、ひとクラスの人数もおのずと減り、少人数教育に近づけるから、それはそれで良いかと、ちょっと投げやりな気持ちにもなってしまいます。それにしても、次元の異なる対策は3次元の世界に効果があるのかな。

 

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田中孝宏 読売新聞教育ネットワーク・アドバイザー

1960年千葉県船橋市生まれ。元小学校長。「ブラタモリ」にならって「ぶらタナカ」を続けている。職場の仲間や友人を誘って東京近郊の歴史ある地域を歩く。「人々はなぜ、この場所に住むようになったのだろう」と考えると、興味は尽きない。

 

(2023年1月27日 09:26)
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