東京学芸大学附属国際中等教育学校卒、英オックスフォード大学修士課程1年(20年1月時点)
茶山 健太 さん
Sayama Kenta
小学4年生の頃に、インディアナ・ジョーンズの映画を見て考古学者がかっこいいとおぼろげに思ってから10年以上経ち、私は現在オックスフォード大学考古学部・修士課程での生活を送っている。
私は、学部では地学と環境学を専攻しており、考古学の授業を取ったことは一度もなかった。同じ考古学部の友達と博物館に行った際には、彼らのローマ帝国や古代ローマに関する知識量に圧倒され、今まで行ってきた発掘について話が及ぶと何も言えず、悔しい思いをした。そんな中、自らの専門分野である文化・自然遺産の保全に関する勉強を進めるとともに、考古学全般の知識を身に付けようと邁進(まいしん)している。
ここでの勉強生活は、自主性がとことん重んじられている。私の場合、出席が義務付けられている授業は、週に2時間の講義と、1時間のチュートリアル(教授と数人の生徒で議論を行う授業)だけであり、修士論文についても、自分でその内容を定め、教授に指導を請わなければならない。その代わり、興味のある講義にはいくつでも出席することができるし、興味のある研究グループに話をすれば、積極的に助手として迎えてくれる。
私も、課題のために読む膨大な数の論文に頭を悩ませながら、世界遺産であるロンドン塔に用いられている石材の保護に関する研究と、中近東において紛争などによって危機にさらされている考古学的遺産の保全を行うEAMENAプロジェクトに携わっている。ロンドン塔の研究では、一般の人の立ち入ることができない部分に立ち入って調査を行うなど、考古学者らしい経験も少しずつ積ませてもらえている。この遺跡科学と呼ばれる分野における最先端の研究に関われるオックスフォード大学の環境は、将来、世界遺産を統括しているユネスコ(国連教育科学文化機関)で働くことを目標としている私にとって、この上ないものである。
私の所属している課程は、1年間のみのものであるため、勉強や研究の他に博士課程進学や奨学金への出願などを同時に行わなければならず、一息つく暇もない。しかし、自分が勉強したいと思う分野を自らの意思で追求し、結果が出た時の満足感は格別だ。一日一日を大切にして、ここでの貴重な時間をできる限り有意義なものにしていきたい。
研究室のメンバーと、オックスフォードのパブにてクリスマスランチ(右端)=いずれも本人提供 |
オックスフォード大学
11世紀末に基礎が築かれた英国のオックスフォードにある英語圏最古の名門大学。大学院、大学合わせて学生数は2万4000人を超え、その43%が留学生。
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海外留学を目指す高校生に進学支援を行っているNPO法人「留学フェローシップ」のメンバーが、海外のキャンパスライフをリレー連載します。留学フェローシップの詳細は>>ウェブサイトへ。