[66]子どもが一番喜ぶ教材は......
玩具メーカーのタカラトミーなどが開発した小型ロボット「SORA―Q(ソラキュー)」が、月探査機「SLIM(スリム)」が月面に逆立ちしている機体を撮った(2024年1月26日読売新聞)。SORA-Qは子供を対象に作られたおもちゃだ。そのアイデアやしくみが、宇宙開発に寄与した。
授業でクイズやパズルを行うのは、ゲーミフィケーション(ゲームの要素や考え方を他の分野に取り入れること)という手法の一つだ。世の中に出回っている教育アプリも、この手法に基づいて開発されている。子どもたちに興味や関心を持たせたり、意欲を維持させたりするために有効に働くことがある方法だ。
子供たちが一斉に同じ方向を向いて、本を読み、内容を覚える。必要なことではあると思う。一方、意欲的に学習しているかというと、子どもによって異なるだろう。そんな時、ゲーミフィケーションという方法は、授業のアクセントとして生かすことができる。
学習には、たくさんの方法がこれまで考え出されてきた。教室を飛び出して自然の中で教えたり、実物を教室に持ち込んで観察したり、アニメのキャラクター名を使って算数の問題を作ったり。何を選ぶのがよいかは、児童・生徒とともに歩んでいる教師が一番わかっていると思う。
おもちゃが宇宙開発を一歩進めたように、意外な学びが新しい世界を切り開く。
もっと授業を楽しみ、自由に教えませんか。先生の楽しむ笑顔が、何よりも子どもたちの一番の学びになりますように。
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田中孝宏 読売新聞教育ネットワーク・アドバイザー
1960年千葉県船橋市生まれ。元小学校長。「ブラタモリ」にならって「ぶらタナカ」を続けている。職場の仲間や友人を誘って東京近郊の歴史ある地域を歩く。「人々はなぜ、この場所に住むようになったのだろう」と考えると、興味は尽きない。