田中センセイの徒然日誌[67]人と人の間に生きているのだから

[67]人と人の間に生きているのだから

 

 旅館の天井、障子を学生が壊した動画が拡散し、神戸大が謝罪をした(2024年3月21日読売新聞夕刊)。回転すし店などで店に迷惑をかける行為についてのニュースも散見される。

 今回は集団での行為で、悪意さえ感じるものだ。行為自体は許されざることであり、被害を被った旅館や店の方々は物心共に相当なショックを受けたであろう。この旅館や店のお客さんにも迷惑がかかる。

 

 みんなで使うものは大切に扱い、次に使う人のことを考えなければならない。多くの学校では4月になると進学、進級で新しい教室に移る。今まで1年間使っていた机やいすも旧教室に置いていくことになる。学期最後の大掃除では、自分が使っていた机やいすを丁寧に拭いた。「次の人のために1年間の汚れを落とし、きれいな状態で使ってもらいましょう」。そんな気持ちを持たせるために。

 

 災害などが続いていることもあるのか、テレビ番組の若者へのインタビューで「他人のためになることをする人になりたいです」という言葉をよく聞くようになった。素晴らしいことだ。多くの若者が、言葉通りに歩んでくれることを期待している。

 

 だからこそ、今、他の人への想いを持ち、もっと身近なことにも考えをめぐらしてほしい。

 人間は人と人の間に生きている、と誰かが言っているように。

 SNSの世界に住んでいるのではないのだから。

 

 

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田中孝宏 読売新聞教育ネットワーク・アドバイザー

1960年千葉県船橋市生まれ。元小学校長。「ブラタモリ」にならって「ぶらタナカ」を続けている。職場の仲間や友人を誘って東京近郊の歴史ある地域を歩く。「人々はなぜ、この場所に住むようになったのだろう」と考えると、興味は尽きない。

 

(2024年4月 2日 13:37)
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